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クリニック人事労務読本

クリニック人事労務読本 第9回

雇用者が知っておくべき「従業員の労務管理」~(6) 就業規則・労使協定~

  • 労務・人事

2019.01.11

連載第9回は、従業員の労務管理における「就業規則・労使協定」について解説してまいります。

「就業規則」はクリニックにおけるルールブック

就業規則とは、労働者の給与や労働時間などの諸条件や、職場内のルール等を定めた規則集です。就業規則を作成することによるメリットは以下のとおりです。

(1)使用者
・自身のルールを明文化して労働者に通知することができる
・合理的かつ効率的な労務管理を行うことができる
・無用なトラブルを予防し、安定した労使関係を構築できる

(2)労働者
・クリニックのルールが明確になり、安心して働くことができる
・自身の労働条件と権利がいつでも確認できる

就業規則に記載する内容には、必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)と、自身のクリニックで独自に定める場合に記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)とがあります。

【絶対的必要記載事項】
①始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交代制の場合には就業時転換に関する事項
②賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切及び支払の時期並びに昇給に関する事項
③退職に関する事項(解雇の事由を含む)

【相対的必要記載事項】
①退職手当に関する事項
②臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
③食費、作業用品などの負担に関する事項
④安全衛生に関する事項
⑤職業訓練に関する事項
⑥災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
⑦表彰、制裁に関する事項
⑧その他、全労働者に適用される事項

上記⑧については、具体的には服務規律や採用、休職、育児休業、懲戒事由等をはじめとしたクリニック独自のルールのことを指します。記載する内容は自由ですが、法律を下回る内容を記載した場合には、当然のことながらその効力は認められません。

就業規則の記載は事項によって良し悪しがある

次に、クリニックにとって記載した方が良い事項、記載しない方が良い事項の具体例をいくつかご紹介します。

記載した方が良い事項


・昇格、降格
労働者の数が増えてくると、副院長や事務長といった役職を定める必要があるため、昇格の制度を設定していく方が管理上スムーズであるといえます。また、労働者の私的な事由でパートタイム勤務となりその役職を全うできなくなった場合や、プレイヤーとしては優秀で昇格したものの指導力が不足しており役職適正無しという判断を下した場合等に降格を命じる必要もありますので、就業規則に明記しておくべきです。 (さらに…)

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執筆者紹介

髙田 一毅

髙田 一毅
(たかだ かずき)

みなとみらい税理士法人 髙田会計事務所
所長・税理士

2002年税理士登録。2003年神奈川県鎌倉市に髙田会計事務所を開業。2011年に横浜市西区に移転し、みなとみらい税理士法人 髙田会計事務所に組織変更。スタッフ総数62名(2017年3月現在)、医科歯科に特化した会計事務所の所長を務め、これまでのクリニック開院実績は700件を超える。

みなとみらい税理士法人 髙田会計事務所のWebサイトはこちら

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