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クリニック人事労務読本

クリニック人事労務読本 第8回

雇用者が知っておくべき「従業員の労務管理」~(5)産休・育休~

  • 労務・人事

2018.12.17

連載第8回は、従業員の労務管理における「産休・育休」について解説してまいります。

産休・育休の基礎知識

産休とは、出産予定日前6週から出産日までの「産前休業」と、出産日の翌日から8週の「産後休業」のことをいいます。産前休業は労働者から休業の申請があった場合において休業をさせることが使用者に義務付けられており、産後休業は労働者に就労の意思があったとしても使用者は休業をさせなければいけません(労働者本人が請求し、医師が認めた場合は産後6週経過後から就労可)。

育休とは育児休業のことであり、1歳に満たない子供を養育する労働者は、申し出をすることにより、以下のように育児休業を取得することができます。原則として、子供が1歳になるまでの間で希望する期間について、育児のために休業することができます。これについては事情を問われることはありませんが、後述しているように労使協定により取得できないケースがあります。

例外的に、子供の1歳到達日において、保育所に入所を希望し申し込みをしているにも関わらず、子供が1歳に達する日後の期間について当面入所が受け入れられない等の事情がある場合には、1歳到達日の翌日から16ヶ月に達する日まで育児休業を取得することができます。

次に、16ヶ月到達時点で同様である場合に、労働者が再度申請することにより2歳に達する日まで育児休業を延長できます。この2歳までというのは201710月に改正された内容であり、今まで最長で16ヶ月であったものが、半年間延長されたわけです。使用者である院長にとっては、今後ますます育休中のスタッフ配置を考えていく必要があります。

退職よりも復帰後の従事に着目することが有用

労働者が産休・育休を希望する場合は原則としてそれを拒否することはできませんが、長期間休まれてはクリニック運営上支障をきたすから、いっそのこと辞めさせたいという院長も少なからずいらっしゃるというのが実態です。

しかしここで冷静に考えていただきたいのですが、入社してから出産するまでの従事期間と復帰してから退職するまでの従事期間とを比較すると、通常は圧倒的に後者の方が長くなるはずです。クリニックの長期的な運営を考えれば、いかに辞めてもらうかよりも、いかに復帰をして長く勤務してもらうかを考える方が最終的にクリニックの存続には有効です。

そのためには、休業前に労働者と復帰予定日を相談したり、休業中の人員配置(補充採用をするのか、パートスタッフに勤務日を増やしてもらうのか等)を検討したり、同様に経過確認やクリニックへの帰属意識を保持するために定期的に連絡を取ったりするべきでしょう。

何より「育児休業を取得したい」と言った労働者と院長が揉めていては、他の労働者が不安になってしまいます。先輩が安心して育児休業を取得できて復帰後も変わりなく働いている光景は、他の労働者にとっての安心につながることを忘れてはいけません。

(さらに…)

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執筆者紹介

髙田 一毅

髙田 一毅
(たかだ かずき)

みなとみらい税理士法人 髙田会計事務所
所長・税理士

2002年税理士登録。2003年神奈川県鎌倉市に髙田会計事務所を開業。2011年に横浜市西区に移転し、みなとみらい税理士法人 髙田会計事務所に組織変更。スタッフ総数62名(2017年3月現在)、医科歯科に特化した会計事務所の所長を務め、これまでのクリニック開院実績は700件を超える。

みなとみらい税理士法人 髙田会計事務所のWebサイトはこちら

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