医院開業コラム
現場発!クリニックの人材マネジメント 第7回
2017.07.19
これまでスタッフ教育について、6回に分けてお伝えさせていただきました。今回は、スタッフと院長とのパイプ役を誰が担っていくのが良いのかについてお話しいたします。
現場では日々いろいろな問題が起こります。スタッフ間のトラブル、患者様やご家族とのトラブル、場合によっては関係業者とのトラブルなど、些細な問題を含めると、何もないことのほうが不思議といってもいいほどです。
時には、院長のお考えや治療方針などを直接伝えることも必要ですが、ソフトにまとめて話すことも「パイプ役」としての大きな役割です。院長が診療に集中するためにも、人的部分に関しては院長以外で解決することをお勧めしています。もちろん、最終責任は院長になりますので「報告・連絡・相談」は欠かせません。
では、誰が「パイプ役」を行うのが一番良いのでしょうか。以下の3つのパターンが考えられます。
(1) リーダー
しっかり成長して、院長が心から任せられるリーダーがいるとするならば、その方に任せるのもひとつの方法です。しかし、人的トラブルを解決できるようになるまでにはかなりの育成時間がかかります。また、「そこまではできません」という方も多いようです。
(2) 院長婦人
事務長として、もしくはスタッフと一緒に現場に入っている院長婦人であれば、育成には適しているといえます。しかし院長婦人という立場上、スタッフに「自分の気持ちを話せない」「結局、経営者だから……」と思われないように、しっかりと関係性を築くことが大前提です。時には経営者目線、時にはスタッフ目線に徹することができるかどうかが鍵になります。スタッフの意見を受け止める力量も必要です。
(3) 外部専門業者(人財専門のコンサルタントや外部講師など)
専門業者が「パイプ役」を行っていくことは、その道のプロがいろいろな経験をもとに問題解決に臨みますので、解決時間もスピーディですし安心感も生まれます。スタッフも第三者だから話せることも多々あります。しかし、別費用が発生してしまうことも事実です。
どのパターンにおいてもメリットとデメリットはありますが、重要なのは”本来、何を優先するか”という点です。(3)は最終手段と考えると、院長婦人が「パイプ役」になることが一番適しているといえます。しかし、院長婦人には経営者として目には見えない業務が多々あります。
そのため、スタッフの意見をリーダーが吸い上げて院長婦人へ伝え、それから最終調整を図るという組織図ができ上がることが最も望ましいです。任せられることはリーダーに任せながらも、「いつもありがとう、意見をもとに院長とお話します」という気持ちで中立の立場を築くことが、組織発展へとつながります。
夫婦は喧嘩をしても修復可能ですが、スタッフと院長の溝を埋めるのは難しいもの。場合によっては院長婦人、場合によってはいちスタッフという立場を使い分けて、良好なコミュニケーションを築くことができるのは、院長婦人ならではの役割だと考えます。
この記事をシェアする