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医療法人理事長インタビュー「逆風が吹くこの10年は、クリニック経営者として腕の見せどころ」

クリニック経営の最前線で奮闘する院長や医療法人理事長が考える“今”をお伝えする、CSP編集部レポートの新シリーズ「クリニック経営最前線」。記念すべき初回は、翔和仁誠会の高松理事長と梅華会の梅岡理事長が登場。積極的な分院展開により医療法人の大型化を成し遂げるなど、クリニック経営における東西の雄ともいうべきこのお二人、実は8年ほど前から交流があるといいます。

「関東の大きな医療法人である翔和仁誠会の理事長に学びたいと思い、手紙を書いた」のは梅岡理事長。手紙を受け取った高松先生は「そんなふうに言ってもらえてうれしかったし、梅岡先生とぜひ意見交換したいと思った」と話します。

今回は旧知の仲である秀でた二人の医院経営者に、クリニック経営に対する考え方や猛威を振るうコロナウイルスがクリニックに与える影響、今後の経営環境の変化などについて存分に語っていただきました。

<プロフィール>
■高松俊輔(医療法人社団翔和仁誠会 理事長)
東京大学耳鼻咽喉科学教室に入局し、国立東靜病院、都立府中病院、都立神経病院、社会保険中央総合病院で勤務、東大病院で文部科学教官助手を務めた後、2002年に「たかまつ耳鼻咽喉科クリニック」を開院。2004年に医療法人社団翔和仁誠会を設立し、現在までに東京・神奈川で耳鼻咽喉科サージセンターを含め15院を展開する。近年は上海・プノンペンでの出張診療も行っており、海外進出も果たしている。

■梅岡比俊(医療法人梅華会グループ 理事長)
耳鼻咽喉科麻生病院医長、市立奈良病院耳鼻咽喉科科長を務めた後、2008年に梅岡耳鼻咽喉科クリニックを開業。現在は、兵庫県西宮市を中心に分院を7院、東京都にフランチャイズクリニック1院を展開するまでに拡大している。

多数の分院展開や先進的な取り組み――攻めの経営ができる理由と狙い

―現時点(2020年3月取材)で、翔和仁誠会は東京と神奈川に14のクリニックとサージセンター1院を、梅華会は兵庫に7つのクリニックと東京にフランチャイズクリニックを経営されています。これだけ多くの分院を展開するのは並大抵の努力では叶わないと思いますが、そのモチベーションはどこにあるのでしょうか?

梅岡:大前提としてあるのは、やはり地域社会に貢献したいという想いです。それから、私の場合は“自分の限界”にチャレンジしたくて。“自分”が、“自分の仕事”が、どれだけ多くの方に必要としてもらえるか。開業当初からずっと、その限界を追いかけ続けています。もともと新しいことには常にチャレンジしたいタイプで、じっとしていられない性分なんです。

高松:私も梅岡先生と同じく、できるだけたくさんの方々の健康に寄与したいという想いでここまで法人を育ててきました。おかげさまで多くの患者さんに来院いただいていますが、でも“出会い”は患者さんだけではなくて。クリニックが成長するたび、分院が増えるたびに、新たなドクターやスタッフとつながっていく。この楽しみが原動力になっています。特に、分院長とゼロからクリニックを立ち上げて軌道に乗せ、その収穫をシェアするというプロセスを共に歩むことに大きな喜びを感じますね。

―翔和仁誠会はサージクリニックの開院や海外診療、梅華会はフランチャイズ展開という珍しい取り組みもされていますが、その狙いについて教えてください。

高松:昨今、そして今後のクリニックを取り巻く環境を鑑み、継続して収益を上げ続けるために打ち出した戦略ですが、ドクターの仕事に奥行きをもたせたいという狙いもあります。クリニック勤務医の仕事はどうしても単調になりがちで、それを不安に思うドクターは少なくないんですよね。そこで、これまで培ってきた手術のスキルをサージクリニックで生かせたり、海外での診療というキャリアを積めたりする環境を整えれば、不安を払拭できるかなと。ドクターを燃え尽きさせないための取り組みでもあります。

梅岡:私たちは“梅華会イズム”を継承するクリニックを、今後より多く展開していくことを目指しています。その実現のために、フランチャイズは非常に有効な手段です。具体的には、経営に関するコンサルティングのみを梅華会で請け負う形ですね。そして、フランチャイジーへの指導をスタッフに任せているので、彼らの成長を促せるというメリットもあります。コンサルティングの経験は間違いなくキャリアアップにつながるため、「仕事を通じて自身を成長させたい」という意識の高いスタッフの採用にも効果があると考えています。

高松:フランチャイジーへの指導ノウハウが確立し、数も増えれば、収益の大幅な増加も見込めそうですね。

梅岡:おっしゃるとおりです。これから、もっとフランチャイジーを増やしたいと考えています。

強い組織をつくり、拡大していく難しさ。キーワードは“権限委譲”

―両法人とも、ドクターやスタッフのキャリアも考慮しての経営戦略なんですね。これは強い組織づくりにもつながるポイントかと思いますが、その観点で他にもこだわりはありますか?

梅岡:職種に関係なく、スタッフ全員に自分で考え、判断する習慣をつけてもらいたいとは常に思っています。それができないと、法人を大きくしていくのは難しいです。

高松:クリニックの数が15院にまで増えた今、私も自身だけで法人全体を見ることに限界を感じていて。スタッフの主体性を、もっと育てていかなければと思っています。私が自分の業務を周りのスタッフにどんどん移譲できればいいのかもしれませんが、うまい方法をなかなか見つけられず……その点、梅岡先生は“権限委譲”がお上手ですよね。

梅岡:うちはスタッフに“患者さんの感動につながるサービスを目指してほしい”という方針を明確にして、あとの判断は任せています。決裁も10万円以下なら現場の判断でOKとしていて。このように方針や最低限のルールを決めると、やりやすいと思いますよ。私は、理事長のコア業務は“0から1にする仕事”だと考えています。新たに分院を開いたり、新たなシステムを構築するとか、最初の一歩だけは自分ができれば、あとはスタッフが形にしてくれる。とはいっても、連携が甘いまま仕事を任せてしまって失敗することもまだありますが(苦笑)。

高松:確かに、具体的にルールを設けるのはよさそうですね。あとは、スタッフを信じて任せることかな。

梅岡:かくいう私も、昔は管理型の経営者だったんです。スタッフに細かなことでも情報共有を徹底させて、全部指示していました。でもあるとき、「自分はこんな経営がしたかったのか? 自分がスタッフの立場だったらこんなにガチガチに管理される職場で働きたいか?」と疑問に思って。そこからは権限委譲を積極的に行うようになりました。

―組織拡大の難しさが話題に上りましたが、今後も分院を増やしていく予定ですか?

高松:私は分院の数をこれ以上増やすことにはあまり執着していないですね。優秀な分院長候補のドクターがいて、開業場所やマーケットもよく、必ず勝てるという自信を持てたときにだけ、一緒に最高のクリニックをつくっていきたいと考えています。

梅岡:当法人では、2022年までに直営の分院を15院、フランチャイズを5院にまで増やすことを目指しています。現在は分院7院、フランチャイズが1院なので倍以上の拡張になりますね。それから、今は耳鼻咽喉科と小児科、内科のみですが、整形外科クリニックの開業も準備しています。

高松:他科目に手を出すのは難しい。チャレンジングですね。

梅岡:法人としてトライする体力は十分にあったんですが……実はコロナウイルスの影響でちょっと雲行きが怪しくて。

高松:うちも上海にクリニックを展開する予定でしたが、同じくコロナウイルスの影響でペンディングになっています。

今後は“病院に行かない”がトレンドに? 近年高まるオンライン診療のニーズ

―コロナウイルスの流行でクリニックにはどのような影響が出ているんでしょうか?

高松:病院での集団感染や医療従事者が罹患したというニュースが報道されて以降、患者さんはかなり減りました。これはあくまで私の体感ですが、全国のクリニックは30%前後売上が落ちているのではないでしょうか? 総合病院や大学病院でも、蓄膿症など不急の手術のキャンセルが相次いでいると聞いています。特にうちがメインで扱う耳鼻科では呼吸器系疾患をもつ患者さんを診るので、待合室には咳をしたり発熱していたりする方が多く、警戒されやすくて。今年は花粉の飛散が少なかったんですが、それを差し引いて考えても減収のインパクトは大きいです。当法人でも患者数の減少に伴って、別の病院に常勤で勤務している外勤ドクターには一時的に休んでもらっています。

―コロナの影響を受け、どのような対応をしていますか?

高松:まずは分院長やスタッフに現状を丁寧に説明し、必要以上に不安を与えないようにしています。みんな「患者さんが減って売上が落ちたので、収入に影響が出るのでは」と心配しているでしょうから。

梅岡:うちも同じです。経営者の務めですよね。あとは、空いた時間に普段はなかなか手が回らないことをやってほしいとお願いしています。例えば、クリニックのサイトに新しい花粉症治療薬に関するページを追加するとか、オンライン診療のマニュアルづくりとか。特に後者はコロナウイルスの流行で必要性を再確認できたので、早急に完成させるよう指示しています。

高松:オンライン診療の整備は当法人でも進めていますね。実は以前にもオンライン診療専門のクリニックを立ち上げようと取り組んでいたんですが、システムを整えているうちに規制が変わって立ち消えてしまったんです。でも、今回のコロナウイルスの流行でクリニックを取り巻く環境も変わると予想されますから、しっかり再構築しなければと考えています。そういう意味では、この機会はピンチでありチャンスかもしれません。

梅岡:高松先生は、今回の騒動が収束した後の環境の変化についてどうお考えですか?

高松:“病院に行かなくても健康を保てる”という考え方がトレンドになるかもしれないと思っています。外出自粛要請を受けて軽い体調不良は家で療養する方が増え、その方たちを中心に“病院に行かなくても家でしっかり休めば大丈夫”という認識が広まるのではないかと……。

梅岡:そうなると、より一層“通う価値のあるクリニック”をつくっていかなければなりませんね。

他にはない強みを探せ。未来を見据え今から先手を打つべき

―この先10年を見据えて、クリニック経営の在り方はどう変わっていくと思いますか?

高松:残念ながら、クリニック経営はより難しくなっていくでしょう。一般診療の規模が拡大することはなく、それどころか縮小傾向にあります。10年後も利益を得るためには、これまでと同じことをしていてはダメです。先ほど梅岡先生がおっしゃったように、患者さんに通う価値を提供できないと。当法人のサージクリニックや海外展開、梅華会のフランチャイズ展開のように、他のクリニックにはない強みをもつことが求められると思います。未来を見据えた一手を、今から打っていくことをおすすめしますね。

梅岡:価値のある自費治療の提供も模索していかなければと思います。

高松:そうですね。それから、コロナの流行で感じたのは、やはりひとつの科目で分院を展開していくのはリスクが高いということ。今後もし何らかの社会的要因で医療現場が影響を受けるとして、特に被害が大きい科目を扱っていたら損害があまりにも大きいですから。

梅岡:先ほど「当法人でも整形外科にチャレンジしたい」とお話をしたとおり、私もそう思います。患者さんのニーズや社会的状況をよく見極め、科目を増やしてリスクヘッジしつつ、他のクリニックにはないこともやる……難しくはありますが、経営者の腕の見せどころですね。高松先生、これからもぜひ交流して、勉強させてもいただけたらありがたいです。

高松:こちらこそ梅岡先生に学ぶことはたくさんありますから、よろしくお願いします。

―お二人とも、本日は貴重なお話をありがとうございました。

※この記事は2020年3月時点の情報に基づいて記載されています。

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