医院開業コラム
分院展開を考えるクリニックのための “医師採用力” 向上委員会 第7回
2019.02.12
全国に10万件以上あるクリニック。毎年、総数で500件程度増え続けています。増減の内訳で見てみると、一般診療所(無床)の開設が7,623件、廃止が7,055件あり、差し引き568件増えたことになります(※)。
もちろん月ごとに偏りは生じますが、平均すると月当たり600件以上の開設がある計算です。この数字にはクリニックの再開や休止は含まれていないため、毎月600名以上の医師が、開業や分院長の就任に関わっていることになります。医師の有資格者はわずか31~32万人ですので、医師一人ひとりの周囲に開業・分院長就任の話が常にあるのが実感ではないかと思います。
※一般診療所(無床)の増減
期間:28年10月末~29年9月末
増減:開設7,623件、廃止7,055 件
出典:『厚生労働省 平成29年(2017)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況』より
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/17/
こういったマクロ状況の中、若い医師がキャリアの早い時期から開業に関心を寄せるのは自然な流れです。実際、弊社セントメディアでも「将来は開業を考えている」「実家を継承する予定がある」という先生方のご相談が毎日のようにあり、先生ごとにキャリア・求人のご提案をしております。
すると、増えてくるのが「開業支援制度がある医療法人へ転職したい」という希望です。10年前・20年前よりも都心や近郊のクリニックの集患競争は激化しており、開業すれば良いという時代ではなくなっています。そのため、開業時の経済的な負担を避けて「より少ないリスクで開業したい」「開業に近い実務経験を積みたい」という希望者が増えているのです。
また自分で開業するためには、まとまった資金が必要になります。開業資金を貯めるために、がんばった分が経済的に報われるインセンティブ制度も、開業希望の医師にとっては魅力的に映るのです。
【開業支援制度の具体例】
医療法人A:
分院長に就任した翌年から毎年数パーセントずつ営業権を譲渡し、約10年後に最大90%まで渡す。残り10%は法人の手数料として納め続ける。
医療法人B:
分院長に就任してから5年後に「購入オプション」を用意。オプションを行使する場合は、 市場価格より割安に分院を買い取ることができる。
医療法人C:
入職当初は勤務医として半年以上本院で勤務し、理事長の指導を受ける。その後、開業希望の地域で分院を開設し、分院長に就任。時期を見て独立できる。
医療法人側のメリットは以下の点などが挙げられます。
・経営の規模が大きくなることで、医薬品や医療物品の調達コストが下がり、本部機能を充実できる
・本院で開発したクリニック経営のメソッドを共有する同志が増え、医療業界内でのプレゼンスが高まる
・常勤1名で切り盛りするよりも、診療体制に厚みが出て、ワークライフバランスを実現しやすい (さらに…)
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