医院開業コラム
現場発!クリニックの人材マネジメント 第6回
2017.06.25
前回、マニュアルによる意識の統一についてお伝えしましたが、今回は「スタッフとの面談」についてお話していきます。
スタッフの成長や今後を見据えるうえで大切なのは、「本人を知ること」です。スタッフが何を考え、組織とどのように向き合っているかを理解しなければ、指導をすることも依頼をすることもできません。
開業後の院長先生とお話をする機会がよくありますが、「気づくとまったくスタッフとの会話がなくなっていた」「本人が何を考えているか理解できない」「伝えたことをスタッフは理解できているのか」など、時間が経つにつれてスタッフとの間ですれ違いが起こっているケースが少なくありません。こういったすれ違いを解消するために必要なのが「スタッフとの面談」です。
スタッフたちは日々悩んでいます。そこで、一人一人との時間を確保し、できる限りスタッフと個人面談を行ってほしいと考えます。スタッフは「私の考えは間違っていないだろうか」「どのような解決策があるのだろうか」など、できれば院長先生に相談したいと思っています。しかし、忙しい業務のなかにある医療従事者は「ちょっと時間をください」とはなかなかいえない現状です。
たとえば「院長先生に今日相談しようと思っていたけれど忙しそう」「院長先生に話しかけて迷惑ではないだろうか」と考えることも少なくありません。「こんなことを院長に相談してよいのか」「叱られるかもしれない」などと、相談をすること自体、判断を悩んでいることさえあります。院長先生ご自身は「聞いてくれればいいのに」と考えるかもしれません。しかしスタッフは、経営者である院長先生に直接お話をするだけでも、非常に勇気がいるのだと知ってほしいと思います。
さらにスタッフは、院長先生が「しっかり自分を見ていてくれるか」「認めてくれているか」と不安になることもあります。「一生懸命頑張っているつもりだけれど、院長先生はどう思っているのか」など、評価を常に気にしているものです。院長先生が忙しい中、あえて「自分のために時間を割いてくださった」という感謝の心が生まれるでしょう。
面談は、院長先生とスタッフの心の架け橋ともいえます。スタッフの状況を確認できる大事な時間なのです。面談を継続して行えば、もし前回話し合いの途中で終わってしまったとしても、次回に話すことができるという安心感も生まれます。
継続して行うことでスタッフとの信頼関係を築き、小さな変化にも気づくことができるのです。ちょっとした時間の積み重ねが(1回30分程度で十分です)、組織の発展のために欠かせない財産になっていくと考えます。
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