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熱血!医院集患塾 第1回

開業しても患者が集まらない?開業時に気をつけたい「3つの落とし穴」

  • 医院開業のポイント
  • 集患・マーケティング

2015.10.27

「良い開業支援コンサルに出会うことができ、とくにトラブルもなくスムーズに開業することができた。でも、実際に開院してみたら想像以上に患者が来なくて、本当に苦しい……

開業をサポートしていると、こういった悩みを持つ院長先生が数多く存在します。実は、この患者が来ないというのは、必然なのです。つまり、そもそも患者が来なくて当然で、有効な手立てを講じなければ来るはずがありません。ですが、そのことに気付いている院長先生は、私が知る限りほとんどいらっしゃいません。

なぜ開院しても思っていた以上に患者が集まらないのか? それは、開業準備をしている間に、いつのまにか「3つの落とし穴」にはまっているからです。

今回は、開業準備中に気をつけなければいけない「3つの落とし穴」について、お伝えしたいと思います。

「開業の成功」とはどういう状態ですか?

まず最初に、こんなことをお聞きになったことはないでしょうか?

「開業の成功のためには、先生ご自身が理念・ビジョンを明確にすることです」
「良い開業支援コンサルタントに担当してもらうことが、開業成功の第一歩です」
「開業に成功するか否かは、苦しい時に踏ん張る気力があるかどうかです」

これらの話には1つのキーワードが存在します。お気付きでしょうか?それは、開業の「成功」というキーワードです。

そもそも開業の「成功」って何でしょうか? それをしっかりと理解していない先生方が多いのが現状です。まずはそれを理解するところから始めましょう。

「開業の成功とは何ですか?」と質問をすると、多くの先生方が「患者さんがたくさん来て、クリニックの経営が良い状態になること」と回答されます。では、「クリニックの経営が良い状態になるというのは、どういうことでしょう?」「そもそも『経営』とは何でしょうか?」と、こういう質問をすると、ほとんどの院長先生がぼんやりとした曖昧な回答をされます。

経営とは、継続的に「利益」を生む活動のこと。つまり、「利益を残す」ことなんです。開業の「成功」とは、開院後にきちんとクリニックに利益が残ることです。まずは、この開業の「成功」の意味をきちんと把握することがとても大切です。

では、利益はどうすれば残るのでしょうか?利益を残すには、二つしかありません。ひとつは、「売り上げること」、もうひとつは「費用を削減すること」。この2つの活動により、利益が残ります。このことを開業準備中も開院後も経営者として常に意識していくことが、成功(=利益を残す)の秘訣です。

開院後に患者が集まらない3つの落とし穴

落とし穴1:コストばかり意識していませんか?

開院しても患者が集まらないひとつ目の落とし穴は、先生の「頭の中」です。
以下の図をご覧ください。これは開業準備の時間軸における、先生方の2つの意識の度合いを測定したものです。

青色の線は開業準備中の「集患対策への意識」、赤色の線は「開業コストへの意識」です。
こう見ると一目瞭然ですが、開業準備中のほとんどのステージで青色の線、つまり、「集患対策への意識」が消えてしまっています。

開業準備の中で、集患に対する意識が高いのは「開業場所探し」の段階です。ご想像の通り、開業場所を探しているときは「本当に患者さんが来てくれる場所かどうか」という意識が非常に高いのです。しかし、開業場所が決まった途端、先生の頭の中から「集患対策への意識」が消え去ってしまい、頭の中は、家賃、建築費、融資など一気に開業コスト一色になってしまいます。その意識は、開院直前の広告活動の時期までずっと続いてしまうのです。もちろんその間、「集患対策への意識」は忘れ去られています。

これでは「開院後に患者を集めることは非常に難しい」と言わざるを得ません。対策をしていないのだから、患者さんが集まらないのは当然のことです。本来は、内装工事中にやるべきこと、ロゴマーク制作時、スタッフ募集時にやるべきことなど、各ステージで適切な集患対策があるのです。

開院後の成功、つまり利益を確保するためには、コスト(=費用)のことばかり意識するのではなく、売上(=集患)への意識も常に持ち続けることが大切です。

落とし穴2:その広告活動、本当に「集患対策」のためですか?

次に2つ目の落とし穴です。それは、開業支援コンサルタントが提示してくる「開業スケジュール」にあります。さて、どこに落とし穴が存在するのでしょうか? 注目すべきは、開院前の広告・認知活動の項目です。

よく開業支援コンサルタントはこのように伝えてきます。
「医療機関は医療法広告規制により開院後の広告活動は法律で規制されていますが、開院前に限って広告活動が許されています。開院前の広告宣伝活動は開院後の患者数に大きく影響するので、折込チラシ、内覧会などを実施しましょう……。」

この話、間違ってはいません。新聞折込、内覧会の実施など、開院前のPR活動はとても大切です。

さて、私のところには院長先生からよくこんな相談がきます。
「コンサルタントの指示通り、開院チラシを新聞折込で4万部配布し、内覧会も実施した。やれるだけのことはやったと思うんだけど、開院してから、1日の患者数は10人にも到達しないんです……。」

きちんと開院前に広告活動を実施したのに上手くいかない……なぜでしょうか?気をつけないといけないのは、その「やり方」だけではなく、「実施期間」です。結論からお伝えすると、「余りにも短すぎる」のです。

ほとんどのクリニックでは、開院前の広告活動は開院直前の半月前から長くて1ヶ月前に準備を始め、新聞折込や内覧会を実施する程度。開業支援コンサルタントの開業スケジュールを見ると、ほとんどがこのような感じです。これでは開院後、患者さんはたくさん集まることはありません。それはなぜでしょうか?

アメリカにはこんな有名な言葉があります。
「顔なじみの悪魔と過ごす」

この言葉は、患者さんにも当てはまります。それは患者さんがよく発言する内容に見て取ることができます。
「新しいクリニックができたけど、今、通院しているところに通院し続けます。今の院長先生には、それほど満足はしていないですけどね……。」

要するに、患者さんにとって医療機関を切り替えることは、心理的なハードルが高く、なかなかしづらいものなのです。現在通院している医療機関は自分の病気の経過を良く知ってくれているので、たとえ満足していなくても、敢えて新しいところに切り替えて、またイチから説明をするのを億劫に感じる人が多いのです。慢性疾患の患者さんは特にこういった傾向が多く見られます。

このような考え方をしている患者さんは、新聞折込で開院チラシを見ただけではなかなか切り替えようとはしないものです。法律により掲載内容が制限される開院チラシだけでは、先生方が伝えたいクリニックの良さを理解してもらうのは難しく、その結果、医院を切り替えてもらえない、という現状があります。

患者さんに医院を切り替えてもらうためには、最低でも2ヶ月半から3ヶ月の集患実施期間を設け、じわじわと切り替えていく戦略を取らなければなりません。

開業支援コンサルタントが提示してくるスケジュールが、開業までの「段取り」として提示されているだけなのか「集患対策」として戦略的に配置されているのかを見極めなければなりません。

落とし穴3:事業計画書では「×××」をチェックすべし!

最後の落とし穴は、開業準備時に開業支援コンサルタントや税理士が作成してくれる「事業計画書」です。

どこに落とし穴があるのでしょうか?それは、「開業前」の宣伝広告費です。余りにも少なすぎるのです。先にお伝えした通り、患者さんを切り替えて自院に来てもらうには、様々な手法と期間が必要になります。当然そこにはコストが掛かってくるのですが、その予算が少なすぎるために充分な集患対策が取れないのです。

開業には、建築内装費、医療機器など多額の資金が必要です。先生やコンサルタントの意識下では、なぜかこれらの方が必要不可欠な要素として意識され、広告宣伝費が軽視されがちです。

そこが3つ目の大きな落とし穴になります。
どれだけ費用を安く抑えて開業できたとしても、患者さんが来なければ必ず潰れます。事業計画書は経営を成功させるための道標となるもの、つまり、「経営の成功=利益の確保」になるための計画書でなければならないはずです。

何度も出てきますが、利益を確保するためには、「売上」と「費用」のへの意識が必要です。ですがどうしたことか、コンサルタントや税理士から提示される事業計画書の90%以上は、「費用」の面はきっちりと考慮されて作られているのですが、「売上」の方はほとんど考慮されていないのです。

この落とし穴に陥らないことが、開院後の経営の成功には不可欠です。

開業準備の段階から常に、「売上」と「費用」を意識し続けること。これが開業成功への秘訣なのです。

※このコラムは、2015年9月現在の情報をもとに執筆しています。

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執筆者紹介

永井 孝英

永井 孝英
(ながい たかひで)

株式会社キープ 代表取締役

集患マーケッター、開業支援コンサルタント、MBA(経営管理修士)。早稲田大学理工学部経営システム工学科を卒業後、大手家電メーカーへ入社。その後、医療機器メーカー、会計事務所のコンサルティング部門での勤務を経て現職。7つの医療機関で事務長を務め、過去の集患増患コンサルティングの施設数は600超(2015年11月現在)。
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