医院開業コラム
現場発!クリニックの人材マネジメント 第8回
2017.08.17
組織立ち上げから、スタッフ教育まで、気の休まるところがない経営者(院長)。今回は、意外と知らない医師へ対してのお叱りについてお話します。今後の組織発展のご参考にしていただけましたら幸いです。
患者は、体調が悪くて医療機関へ訪れています。ですから、どうしても医師に対して、「病気を治してもらっている」という気持ちがあります。また、定期的に通っている患者については、「医師に嫌われたくないから何も言わない」という方も少なくありません。
たとえば、医師の対応が自分としては不本意だったとしても、医師にそれを直接伝えることはほとんどありません。少ない診療時間のなかでは、体調についてなど、現状の話で終わってしまうことがほとんどです。もちろん、医療機関に対して医師へのお叱りだけではありませんが、特徴として、医師へのお叱りは医師まで届かないことがほとんどなのです。
医師に対するお叱りには、以下のような事例があります。
「先生はいつも命令口調で困る!!もっと優しい言い方をしてほしい」
「先生の説明はわからない!!あなたからちゃんと先生にわかりやすい説明をしてほしいと言っておいて!!」
「前の人はゆっくり話を聴いていたのに、私のときはあっと言う間。長い時間待っていたのに……」
このように、小さいことを含めるとかなりのお叱りをスタッフが受けています。しかし、それに関して担当医まで共有がなされる組織はほとんどないのが現状です。非常勤で来ている医師がいる組織などは、後々のためにあえて伝えていないという組織さえあります。
しかし、これで良いのでしょうか。今後の組織発展のために求められる「組織づくり」について考えていきます。
患者の声をしっかりと医師に伝えることが、今後の組織発展につながります。「医師には言えない」組織づくりは、組織のためにも、スタッフのためにも良い影響を与えません。開院当初から、「医師であれ、看護師であれ、すべてのお叱りを共有できる組織づくり」が必須といえます。
月1回のミーティングなどで、いただいたお叱りを組織で共有し、改善策を立てることが必要です。患者は、たとえ医師に伝えなかったとしても、ほかのスタッフへ「伝えている」のです。改善がなければ同じことの繰り返しになり、お叱りが減ることはありません。言わば、開業、もしくはまだ開業して間もない組織だからこそ、風通しの良い組織づくりができるのです。
患者からすれば、組織のなかにいる職員はみな同じ「医療従事者」です。組織全体の問題について同じ目線で捉え、対策を考えることをお勧めします。
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