STEP8
良い人材を確保するのは、どの時代においても容易なことではありません。また、クリニック運営は少数精鋭になるため、人材の採用・育成も重要になります。開業に際して、つい、ハード面に捕らわれがちになりますがソフト面の準備もしっかりと行なっておきましょう。
スタッフを採用して、いきなり開業というわけには行きません。開業1ヶ月前を目安に院内研修を行う必要があります。そこから逆算すると、開業の半年前には必要な人材や求人を掲載する媒体の選定など採用準備を、開業3ヶ月前からは求人の掲載を開始するのがベターです。
募集から採用、教育までのおおまかなスケジュールは、以下を参照ください。
(画像を拡大する)まず、必要な人材の選定ですが、時期や情勢、景気などによって人材確保が難しいということはしばしば起こります。フルタイムの正社員という旧来の雇用形態だけではなく、パートや派遣社員、外注の採用も視野に入れておくと良いでしょう。
近年のクリニックでは、電子カルテやウェブ予約などデジタルの導入が進んでいます。それに伴い、スタッフのスキルとしてもPC等デジタルデバイスが操作できることが必須要件になりつつあります。
医療事務はもちろんのこと、診療科によっては看護師も電子カルテの入力等が必要となる場合があります。看護師もデジタルデバイスに抵抗がない方を採用基準として設けておくと良いでしょう。
求人を出す媒体には、ハローワーク、広告(インターネット、新聞折込、フリーペーパー、専門誌など)、人材紹介会社、自院ホームページなどがあります。
それぞれの媒体に特性があり、どのような人材を採りたいかにより使い分けるべきですが、自院ホームページだけはどのようなケースであっても人材募集開始時には開設しておくことをおすすめします。
開業前のホームページに、新規スタッフ募集ページを設けておくことで、他媒体で求人を見た応募者がそのクリニックについての理解を深めたり、「ぜひ働いてみたい」と感じてもらったりすることで、より良い人材を採用できる確率が高まるためです。
一般的にホームページの制作にかかるスケジュールは、下記のようになります。物件を決めた段階でホームページについても準備を始めると言った流れをイメージです。
(画像を拡大する)人材募集向けとして掲載する内容としては、下記のようなものを最低限用意しておくと良いでしょう。
など
また、忘れてはならないのが、スマートフォン対応です。近年では、60〜70代でも8割以上が保有しています。採用をするスタッフの年齢を考えても、必然的に、スマートフォンがホームページへの最初のアクセスポイントとなってきます。
内定や雇用、就業に関しては、それらのルールを明文化をし、スタッフと共有や契約締結を行なっておくとトラブル防止になります。
内定の段階では内定通知書や内定承諾書といった書面のやりとりを、雇用段階では雇用契約書(労働契約書)を締結することをおすすめします。クリニックでは、あまりこのような雇用契約といったものをきちんと結ぶことは少ないかもしれませんが、スタッフが退職する場合などにトラブル防止になります。
また、就業規則(もしくは、就業心得)を明文化し、スタッフが日常的に目にする場所に掲示をしておくと良いでしょう。就業規則に関しては、募集時にルールが決まっていないと採用後にトラブルにつながる場合がありますので、注意が必要です。
このような労働に関する取り決めは、労働基準法などが関わってきます。信頼できるコンサルタントや社会保険労務士に相談して内容を決めていくことをおすすめします。
開業1ヶ月前くらいから院内業務の研修を始めるようにします。個別研修ではなく、できる限り、チームで行うことでクリニックのルールやチームワークが醸成されます。
受付や診察のロールプレイングや患者さんへの接遇マナー、医療機器・電子カルテ等のレクチャー、衛生講習、個人情報保護に関する講習など、事前に行うべき講習の内容は多岐にわたります。
医院開業前は、研修以外にもやることが沢山あります。それぞれ各機器や製薬メーカーの担当者などに勉強会を開催してもらったり、開業コンサルタントなどが接遇対応の研修を行ってもらったりなど、院長一人で行おうとせず、他者の力も借りて実施していくようにしましょう。
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