この地域だからこそ開業を決意。未来図を力強く描く、若きドクターの挑戦
- 更新日時
- 2020.10.20
- カテゴリー
- 編集部レポート
クリニックの開業を目前に控えたドクターが、今何を考え、悩み、いかにして困難に立ち向かったのか……そんな開業の準備期間、いわば“エピソード・ゼロ”にフォーカスする本シリーズ。巷にあふれる成功体験記ではなく、開業医の序章を紐解くことで、よりリアルなクリニック開業に迫ります。
第2回となる今回は、皮膚科医の穀内康人先生をインタビュー。穀内院長は2020年12月、大阪市城東区の医療モール「クリニックステーション野江」に、初となる自身のクリニックを開業予定です。その開業に至るまでのストーリー、そして穀内院長が目指す理想のクリニック像とは。
【プロフィール】
穀内 康人(こくない やすひと)
日本皮膚科学会 専門医、日本抗加齢学会 専門医。
1981年、大阪府吹田市に生まれる。2007年に大阪医科大学を卒業後、同大学院へ進学し大学で勤務をした後、2017年には市立ひらかた病院の皮膚科副部長に就任。2020年に母校に戻り講師(教育主任)として活動した後、同年12月に「こくない皮フ科クリニック」を開業予定。
学生時代は野球やサッカー、ハンドボールに打ち込む。勤務医時代もハーフマラソンに参加したり、妻子と一緒にパーソナルジムに通うなど、体を動かすことが好き。淡路島に小学校高学年から移り住み、のどかな田舎の環境で穏やかな家族の末っ子として育つことで、温厚な性格に。コロナ禍でジム通いができず、開業準備の多忙による運動不足が、もっぱらの悩み。
患者さんに寄り添い、自分らしく人生を送るためのサポートを
――「こくない皮フ科クリニック」を開業するにあたり、穀内院長が目指していることを教えてください。
私が目指すのは、地域の方々が自分らしい人生を送れるようにサポートしていくことです。皮膚トラブルの多くは、命に関わるものではありません。しかし、皮膚は“目に見える臓器”であるため、生活の質に大きな影響を与えることが多々あります。例えば「皮膚の炎症が気になって温泉やジムなどで肌を見られるのが恥ずかしい」といった具合ですね。
一人でも多くの方が、皮膚の悩みを気にせず毎日をイキイキと楽しめるように、皮膚科医として最大限の努力をしていければと思っています。
――患者さんにしっかりと寄り添う診療を目指されているんですね。

そうですね。当クリニックのコンセプトである「正確な診察、診療」「丁寧でわかりやすい説明」「患者さんの気持ちに配慮したきめ細やかなサポート」も、患者さんが真に求める診療とは何かを徹底的に考えて決めました。
また診療の際は、自作の資料やパンフレットをお配りするつもりです。口頭でいくら丁寧に説明しても、時間が経てばどうしても忘れてしまうこともあるでしょう。
そんなとき、資料が手元にあればじっくり見返せますよね。このように、常に患者さんの目線に立って考え、不安や疑問が残らない診療を提供していきたいです。
祖父母や両親のように地域医療を支えるドクターになりたい
――穀内先生が医師を目指したきっかけを教えてください。
両親、祖父母が開業医で、幼い頃から診療の現場を実際に見る機会が多くあって。物心ついた頃には、自分も将来は医師になりたいと思うようになりました。

また、私自身が小児喘息やアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患を抱えていたのも理由のひとつです。入院を繰り返すことのつらさや、体が元気になることの喜び、何気ない生活を送れることのありがたさをよく知っていたんですよね。そんな経験があったから、同じように苦しむ患者さんを今度は自分が治してあげたいと強く思っていました。
数ある科目のなかで皮膚科を選んだのは、皮膚科医であった母の存在が大きいです。思春期には、アレルギー体質ゆえに度々発症する蕁麻疹やニキビ、脂漏性湿疹などに悩まされたのですが、その度に母が治療してくれました。
――ご自身のクリニックを開業しようと思ったきっかけは何ですか?
両親がともに淡路島の南あわじ市で開業医をしており、その姿を見てきたのが大きなきっかけですね。南あわじ市は、高齢の患者さんが広い地域に点在して住まれているんです。そこで父は30年も前から在宅医療に取り組み、地域医療を支えていました。私が「研究者ではなく現場で患者さんを診たい」「地域の医療に貢献したい」と考えるようになったのは、確実に父の影響を受けていると思います。
[長らく開業医を務められたご両親と穀内院長]
家族や先輩、開業コンサル。たくさんの人の力を借りて進んできた
――開業にあたり、この地を選んだ理由を教えてください。
妻の生まれ育った実家がこの地域にあることが最も大きな理由です。義父がこの地域で長らく町内会長を務めており、妻の家族のお知り合いや顔見知りの方が非常に多い場所となります。
また、わが家には昨年娘が生まれたんですが、私も妻も引き続き働いていくとなると、妻の両親に育児をサポートしてもらえると心強いなと思って……。
そんな折に、タイミングよく「クリニックステーション野江」ができると聞き、ここでの開業を決めました。
[休日に愛娘とお散歩]
――この医療モール物件で開業しようと決めた理由を教えてください。
大阪市城東区の関目、成育あたりで開業物件を探していた際に、この医療モールを紹介していただきました。この物件の建設予定地や周辺環境などをみて、多くの利点があると判断しました。