はじめに
実際にクリニックの開業を意識し始めてから具体的な開業準備に入るには、相応の期間と、決意にいたるまでの様々なきっかけがあるかと思います。建物や内装、街の様子や雰囲気、提供する医療サービスなど、まずはご自身のクリニックのイメージを膨らませるところからスタートされることでしょう。
医院開業の準備はこれら様々なイメージを「構想」として練り上げるところから本格的なスタートとなります。
具体的な開業準備にはどのようなタスクがあるのでしょうか。下の図は当社が開業セミナーでもお話をさせていただく、一般的な開業準備の流れです。
開業準備は「医院構想」から始まりますが、「医院構想」とはひと言でいってしまえば「どのようなクリニックを作るのか」ということです。
具体的には経営理念や診療コンセプトの策定、開業形態・エリアの方針決め、開業物件の選定、そして事業計画の立案といった、クリニックの骨子となる様々なタスクで構成されます。
各タスクは密接に関係しているので、相互矛盾はないか、事業計画上の問題はないか、検証と検討を重ねて骨子を固めることが大切です。
特に開業場所については決定後の軌道修正は非常に難しくなります。診療コンセプトや市場性、収支ベースでの検証、そして院外処方をするのであれば、調剤薬局との連携が可能かなど、慎重な判断が必要です。
この「医院構想」フェーズは開業準備において非常に重要です。ぜひ、先生と目線を合わせて開業をサポートする、より良きパートナーを見つけていただき、ディスカッションを通じて「医院構想」を練り上げていっていただければと思います。
上の図のように医院構想は密接に関連する各項目を何度となく練り直していくことで、ブラッシュアップを行います。これは、その後の開業準備期間だけでなく、クリニック開業後の数十年に影響を与える大切な工程です。
現実には開業準備が進む過程で、想定外の事態が発生するかもしれません。それゆえ医院構想自体にあまりにも固執するのは考えものですが、時間の許す範囲で、ぜひ納得のいく医院構想を仕上げていただければと存じます。
一般的に、開業の準備には1年程度必要になると言われていますが、この医療構想のプロセスに6ヶ月程度を掛けるケースが多いです。何度も繰り返しますが、先に進んでしまうと後戻りが難しい工程になりますので、そのくらい時間を確保して検討を重ねる方が多くいらっしゃるのが実情です。
検討プロセスの詳細については、各稿でご紹介します。
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