開業した先生の声
Vol.6
2023.06.13
クリニックの開業を目前に控えたドクターが、今何を考え、悩み、いかにして困難に立ち向かったのか……。そんな開業の準備期間、いわば“エピソード・ゼロ”にフォーカスする本シリーズ。巷にあふれる成功体験記ではなく、開業医の序章を紐解くことで、よりリアルなクリニック開業に迫ります。
今回は、2023年6月に「草津栗東みらい内科クリニック」を開業された梅谷俊介先生にインタビュー。開業に至るまでの経緯と共に、先生の目指す医療の形、クリニックの名前「みらい」に込められた想いについて、お聞きしました。
父が医者だったので「自分も医者になるのかな」と幼い頃から何となく思っていて、気づいたら医者を目指していました。呼吸器内科を選んだのは、僕自身が子どもの頃に喘息でつらい想いをしていたのが影響していると思います。また、僕が研修していた病院の上司、師匠にあたる先生が呼吸器内科だったことも理由のひとつです。呼吸器だけではなく内科全般を何でも知っていて、患者さんからの信頼も厚い。そんな先生を見ていて、自分も呼吸器だけにこだわらず、いろいろなことを吸収できる医者でありたいと思うようになりました。
急性期病院には、非常に重い病気の方が、入れ替わり立ち替わりたくさん来られます。残念ながら、亡くなられる方も多いです。勤務医として10年ほど経ち、そんな中で感じたのが「患者さんが大きい病院に来る前に、もっと何かできたのではないか」という想いでした。病気がもっと軽いうちに、悪くならないように“予防する医療”がしたいと思い、開業を決めました。もっと患者さんにとって身近なところで医療に関わりたい。初期の段階で病気を見つけて治療できれば、急に大きな病院にかかる必要もありませんよね。
「医療を通して地域社会の未来に貢献する」です。大きな病院では病気が悪化してから受診されることが多いですが、当院では病気が悪くなる前に治療するというイメージですね。このままだと将来重い病気になってしまうかもしれない人を、そうなる前に早めに治療する。大げさな言い方をすると“患者さんの未来を変える医療”がしたいと考えています。また、少子高齢社会で高齢者の割合がどんどん増えていく中であっても、高齢者が元気ならきっと社会も明るいと思います。患者さんの健康を支えることで、地域社会全体が明るくなればと願っています。
私の専門は呼吸器内科なので、まず一番は禁煙外来です。禁煙は1人ではなかなか難しいですが、お薬のサポートをしながら治療することでタバコをやめられたら、その人の将来の健康を保つことになりますよね。次に検診です。早期発見のため、できる範囲で検診はやっていこうと思っています。あとは予防接種。コロナ禍で、ワクチン接種の大切さが認識されたと思います。コロナに限らず、ワクチンで予防できる病気はできる限り予防していきたいです。病気の治療はもちろんですが、予防医療で患者さんの健康を守っていきたいと考えています。
[広々とした受付。床は木目のナチュラルなイメージで居心地の良い空間に]
この地域は呼吸器内科専門のクリニックが少ないので、呼吸器の病気に対して専門的な医療を提供したいというのがまず一点です。予防医療の点でいうと、生活習慣病の管理も欠かせません。また、患者さん自身にもっと健康に関心を持ってもらえるような診療がしたいと思っています。例えば、医者が「血圧が高いから薬を飲みなさい」と一方的に言うような関係ではなく「もっとこうすると血圧が安定し、健康に近づきますよ」という提案をするなど、きちんと患者さんと話し合いながら健康をサポートできるようにしたいですね。
説明を聞いた患者さんが「それならちゃんとお薬を飲まないといけないな」と自然に思ったり、食事に気を付けるようになったり、健康づくりに積極的に取り組んでもらえるような関係をつくりたいです。コミュニケーションの中から、お互いにとって一番いい治療を探していけたらと考えています。
[受付の横には患者さんが利用できるカウンターを設置]
「クリニックで健康をサポートする」というテーマを掲げているので、自分自身も健康的な生活を実践していこうと心がけています。少しだけですが筋トレしてみたり、食生活にも気を付けたりするようになりました。子どもが4人いて、休みは家族でお出かけすることが多いです。学生時代は山に登っていたので、最近は子どもと一緒に山登りすることもあります。
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