開業した先生の声
2023.05.25
同じモール内の1階にある調剤薬局のスタッフや関係者の方々と、信頼関係を構築しやすいのが一番よかったです。また、開業まではコンサルタントと並走し、開業後は薬局部門と一緒に盛り上げていくという流れもいいですね。さらに、同じ医療ビルの他院から紹介状を書いてもらい、診療をつないでもらった経験もあり、クリニック同士の連携が取りやすいとも感じています。
【外観とMAP】
一番魅力を感じたのは、開業に必要なノウハウや悩みをコンサルタント(アイセイ薬局)に相談できることでした。しかも、開院後もサポートしてもらえるというメリットは大きかったですね。開業のサポートを依頼する手段はたくさんありますが、コンサルタントとの付き合いは開業と同時に途切れてしまうケースがほとんど。しかし、医療モールを手がける専門のコンサルタントなら、開院後も関係を密に保ち続けることができます。私には、こうしたコンサルタントの存在がとてもありがたかったですね。
また、この物件を選んだ最大の理由は“立地”です。以前勤務していた「東邦大学医療センター大橋病院」や「虎の門病院 分院」から近く、各病院の最寄り駅の沿線上にあった宮前平の医療モールに開業しました。そのため、直近で勤めた「虎の門病院 分院」で診ていた患者さんの診療を引き継げたこともよかったですね。患者さんの病態が不安定な場合でも、近隣の中核病院とうまく連携が取れるのも利点だと感じます。
やはりクリニックと薬局が連携を取れることに、一番恩恵を感じています。患者さんに安心・安全な医療を提供するために、薬局側とどのようなフローで、どのような情報を共有するかを考えることは、とても重要です。
相互がタッグを組み、協力し合うことで、共通認識をもって業務にあたることができています。
研修医時代、心臓カテーテル治療を受けたある患者さんが、一命を取り戻すまでの一部始終を目の当たりにしました。救急車で運ばれてきたとき、その患者さんは顔面蒼白で、身の置き場がないような状態でした。
でも、あんなに苦しそうな表情を浮かべていた患者さんが、元気に歩いて退院されていく姿を見送ったとき「こんなにも素晴らしい治療ができるんだ」と感慨深くなり、循環器の分野にすっかり魅了されたのです。
私自身、研修医時代に心臓カテーテル治療と、循環器内科の診療を行っていました。しかし、ある時期から病院側の方針で、睡眠医療にも携わるようになりました。そうすると、循環器病を抱える患者さんの多くが、睡眠障害を併発していたという事実が浮かび上がってきたのです。
当時、循環器の医師が睡眠医療を扱うケースは少なかったのですが「循環器疾患」と「睡眠障害」に深いつながりがあることは、今の医療業界では常識になりつつあります。しかし、多くの患者さんはその事実を知りません。そこで「心臓」と「睡眠」の結び付きを一言で示したのが「HEART SLEEP®」というフレーズです。
この言葉には『寝る子は育つを100歳まで』という理念を込め、日中も夜間も含めて“心臓がリラックスできる状態をお手伝いしたい”という想いが託されています。開業するにあたり、このようなキャッチーな言葉があると、クリニックの理念がより伝わりやすくなると思います。
勤務医の頃は、会議や事務作業など、患者さんと直接向き合う時間以外での業務が多かったです。そのため「限られた診療時間の中で、自分の知識や技術を生かすためにはどうすればよいか」を考えていました。特に私がアプローチしたかったのは、隠れた病気を見過ごされてしまっている方です。
循環器病を抱える患者さんの多くは、すでに発症した病気に対処する「二次予防」の治療が一般的です。しかし私は、まだ病気に至っていない「一次予防」の段階で健康状態を深掘りし、真の原因を見極めたいと考えていました。一次予防も含めた患者さんへの診療が、開業医の役割のひとつだと思っています。また、自分の理念を広げて、一人でも多くの患者さんの役に立ちたいという想いもありました。
開業後は、医師としての役割以外で新しく学ぶことが増えましたね。例えば、勤務医の頃は医療の知識や技術の習得に専念できましたが、開業医は経営のことや接遇、人事など、総合的な知識を必要とされます。
また、私とスタッフ間のやりとりだけでなく、スタッフ同士の人間関係にも気を配る必要があることを知りました。開業前と開業後のイメージのギャップは、結構大きかったですね。とはいえ、開業前に何かを勉強しておいたほうがいいかと聞かれると、私は特に意識していません。開院して今に至るまで、問題はその都度解決し、乗り越えられています。
私の場合、開業の準備は8カ月前から開始しました。当時、新型コロナウイルスによる流通の乱れによって、機械や部品の欠品、配送遅延などイレギュラーな出来事が多かったことが理由です。担当のコンサルタントからも、8カ月は一般的な準備期間より長かったと聞いています。
患者さんと向き合う時間が維持できる診療体制を継続すること。そして地域との連携を心がけ、患者さんと中核病院をつなぐ架け橋のような役割を担っていきたいですね。また、いずれは休診日をなくして、患者さんがいつでも来院できるような体制を確立していきたいとも思っています。
開業前は、そもそも何が必要なのか、確認すべきこともわからないのがスタート地点だと思います。ですから、知人や開業支援のスタッフなどと定期的に面談を重ねて、開業までの道筋を立てておくことが大切です。私の場合、専任のコンサルタントが開業までのスケジュールを時間軸でアナウンスしてくれたので、とても助かりました。
例えば「そろそろ電子カルテの業者を決めましょうか」「いつ頃までに精算機のプレゼンをしませんか?」など、適切なタイミングで助言をもらえたので、準備に抜け漏れはなかったですし、開業日が後ろにずれることもありませんでした。
もちろん開院後もお付き合いは続きますから、不安や疑問はその都度解消できます。もし開業支援サービスを頼むなら、コンサルタントは「開業して終わり」ではなく、継続的に関係が続くことを前提で選ぶのをおすすめします。
「開業準備にかかったお金の領収書は保管しておけよ」ということでしょうか(笑)。例えば、開業のためのセミナーへの参加費用や本、パソコンなど、開業までに支払ったものは一部を除き「開業費」として経費に計上できます。
しかも、開業のために使った費用なら、何年さかのぼっても認められるようです。これは初年度に限らず、保存しておいた領収書は開業後いつでも経費になります。この辺りは開業を検討する医師の間でもあまり知られていない情報だと思うので、ぜひ覚えておいてください。
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