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  3. マスオ院長になる

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マスオ院長になる

【前回のあらすじ】
マスオがイソノ医院を辞めて独立したいと考えている頃、ちょうどナカジマ医院が承継先を探していることを耳にし、カサナミに相談する。カサナミを介した両者の交渉は、お互い納得する形で合意する段階へと進んだ。そこで、マスオはサザエやカツオにイソノ医院を退職する旨を告げようとするが……。

 

 

ある日の夜 

 

 

ねえ、サザエ。

 

どうしたの?

 

……。

 

何? 何かあったの?

 

サザエ、実は僕……イソノ医院を辞めることにしたんだ。

 

え!?

 

実は、結構前から開業することを考えていて……。

 

突然何を言い出すのかと思ったら、何で今の時期に?

 

給料が下がったままというのもあるけど、僕は僕で『医院を持ちたい』と思うようになったんだ。

 

今ようやくイソノ医院が上向きになってきたところよ、いずれは給料も上がるかもしれないし。

 

再度理事報酬を上げたら、イソノ医院はまた赤字になるぞ。それに、イソノ医院全体としては雰囲気が良くなっているけど、かえって僕は疎外感があるんだよ。そのときに気付いたんだ、『僕はずっとイソノ医院にいる気はない、開業したい』って。

 

でも、今あなたに抜けられたら……。それに、何といってもタラちゃんの学費がかかる時期よ。

 

だから、ナカジマ医院を買収して開業資金を安く済ませることにしたんだ。あそこなら、自分の診療内容とほぼ変わらない。ナカジマ先生も合意しているよ。

 

そんな、いつの間に……。

 

まだM&Aが決まっていないのに、大っぴらに言うわけにはいかないだろう。

 

勤務医が長かったあなたが、経営なんてできるのかしら。私は賛成できない。失敗したら、大変なのは私とタラちゃんなのよ!

 

もう決めたことなんだ。

 

あなたは何でそういつも勝手なの!?

 

うるさい! 今さら引き返せるか!

 

もう!あなたって人は……?

マスオとサザエは、結婚以来かつてなかったくらいに大ゲンカをした。2人とも、興奮で顔が真っ赤になっている。

 

 

一体どうしたんだ! そんなに大声出して、外にまで聞こえちゃうよ!

 

こんな夜中に、一体どうしたっていうんだい?

 

だって、マスオさんが……イソノ医院を辞めるとか言うから……。

 

何だって!?

 

マスオさん、どういうこと?

 

ナカジマ医院を買収して、承継開業するとか……。

 

マスオ兄さん、本当なの?

 

本当さ。

 

何で今まで黙っていたんだよ! マスオ兄さんの穴は誰が埋めるんだい!?

 

カツオくん、申し訳ないけど、もう決まったことなんだよ。

 

何だよ、マスオ兄さん! 何て自分勝手なんだ! だいたいマスオ兄さんは昔から……

 

うるさい!

 

何だと!

 

やるのか!

 

このヤロー!

 

こら! 2人ともやめなさい!

 

……。

 

……。

 

マスオさん、もう決めたんでしょ?

 

もちろんです。今さら、やっぱり開業しないなんて言えません。ナカジマ先生にも、すごく迷惑をかけちゃうし。

 

確かに、イソノ医院は最近良くなってきて私も一安心です。でも、マスオさんだけはいつも冴えない顔だった。なんか、本当の居場所はここじゃないみたいな。

 

……。

 

ナカジマ医院は、昔からお父さんも『良い医院だ』と言っていたわ。あそこなら前から患者さんの信頼もあるし、きっと大丈夫じゃないかしら。

 

お母さん……。

 

あと、辞めるのはマスオさんだけじゃないわね。ノリスケさんも連れていくんでしょ?

 

お母さん、なぜそれを……。

 

マスオさんは経営に不安があるでしょうから、ノリスケさんがいたほうが安心ね。

 

マスオ兄さんは引き抜きまでしていたのか! 何てことを……。母さん、医者と事務長に一気に辞められたら、うちはどうなるの? 僕は倍働くことになるの?

 

マスオさんとノリスケさんの穴なら、どうにかなるわ。お父さんのときから、イソノ医院は危機を何回も乗り越えてきた。それに、ちょうどハナザワさんの娘さんが女医になったじゃない? カツオと同級生の。今病院勤務から転職を考えているみたいで、今度面接に来るわ。

 

ハナザワさんが来るなら安心だね、母さん!

 

マスオさんもノリスケさんも、今まで精一杯頑張ってくれたからね。ちゃんと送り出しましょう。

ある日の夜 

 

 

というわけで、何とか家族には独立を理解してもらいました。

 

それはよかったです。

 

これで、ノリスケくんと一緒に気兼ねなく独立することができます。カサナミ先生には、本当に今までお世話になりました。

 

いやいや、まだ開業までやることはたくさんありますよ。今はまだ、ナカジマ先生と基本的な合意が締結された段階です。

 

はあ。

 

(M&Aの簡単な流れを書いた図を見せながら)最終的な契約が成立すると、マスオ先生は新医院への出資金(もしくは拠出金)を用意しなければならないので、事業計画書を作成して銀行から融資を受ける必要があります。

 

イソノ医院の退職金を考えても、やはりいくらか銀行からの借り入れは必要ですね。

 

それと、売買が成立したからといって、すぐにマスオ先生が院長として診療できるわけではないのです。

 

えっ!? そうなんですか!?

 

今回は医療法人のM&Aですが、最終的な契約が終わったら行政の許認可や登記変更など、諸々の手続きが発生します。それが終わるまでは、マスオ先生は診療を始められません。閉院前にナカジマ医院に加わって、一緒に診療しながら引き継ぐことは可能ですが。

 

思い出した! 確かに、そういうことになっていましたね。

 

せっかく売買が成立しているのに認可が出ない、というトラブルは結構よく聞きます。

 

そうかあ、イソノ医院に近々私の後任の先生が来るらしいので、なるべく早く退職して、ナカジマ医院の引き継ぎに集中するかな……。

 

それがいいでしょう。許認可については、こちらでお任せいただきたいと思います。

しばらくして、マスオとノリスケは晴れてイソノ医院を退職。早速、閉院前のナカジマ医院で働くことになった。

 

ある日の夜、居酒屋「サブロー」にて 

 

 

とりあえず、無事にナカジマ医院を引き継げるようでよかったよ。でも、ノリスケくん……。

 

ん?

 

いざ、ナカジマ先生のところで働いてみたら、いろいろと不安になってきたよ。やっぱり、僕は院長には向いていないかも。

 

おいおい、今さら何を言っているんだよ。まだ始まったばかりじゃないか、しっかりしてくれよ。経理とか事務的なところは僕が見るから。

 

そうなんだけど、いざ働いてみたら、やっぱり患者さんもスタッフもイソノ医院とは雰囲気が違うね。

 

何かあったのかい?

 

ナカジマ医院は、昔から通っている高齢の患者さんが多いじゃない? だから、僕が担当すると『この人は誰? 大丈夫なの?』という目で見てくるし、スタッフだってそう。相性が合うかどうか……。

 

急に弱気になって、どうしたんだよ。

 

看護師の◯◯さんっているじゃない? いかにも“ベテラン”って感じの人。僕、あの人苦手なんだ。なんか『私のほうが患者のことを知っているわよ』みたいな雰囲気を出してくるし……。

 

それはしょうがないよ。もうすぐ僕らが経営するとはいえ、後から入ってきたわけだから。

 

そうだよね……。慣れるために、ナカジマ先生と一緒に働いているしね。

 

まあ、スタッフとの関係は僕も間に入るようにするから。マスオさんが、人間関係のストレスでまいってしまうようだと困るしね。

 

ノリスケくん、ありがとう。

 

(一升瓶を持って)これ、カツオ先生からプレゼントです。

 

え? 何? 大吟醸じゃないか!

 

開業祝いだそうですよ。

 

なんと、カツオくんがそんな粋なことを……。

 

マスオさんが、ナカジマ医院を継ぐと聞きましたよ。頑張ってくださいね。

 

カツオくんとはケンカしてから微妙な空気だったけど、これは嬉しいな。ノリスケくん、今日は飲むぞ~!

その後、ナカジマは医師を引退し、マスオは不安を抱えながらも、手続き上は院長として独立することになった。ノリスケも、新しい医院の事務長としてマスオをサポートすることに。イソノ医院のときとはまた違う問題が度々起こったりもしたが、ノリスケのサポートもあって、マスオの新医院は何とか経営が成り立っていた。

次回につづく

 

●税理士笠浪真のワンポイントアドバイス

承継開業は前院長の信頼や実績も引き継ぐことになるので、患者さんもスタッフさんも、どうしても前院長と比較しがちです。承継後、今まで通っていた患者さんが離れてしまうことは、ある程度は仕方ないでしょう。

また、スタッフも新院長の方針に対して「前院長のときはこうだった!」「うちの患者さんのことは、私達のほうが知っている!」と、反発してくる可能性があります。スタッフとの相性は、承継開業の目に見えないリスクのひとつです。

手続き上は、認可が出ないと院長として診療することができません。しかし、継承先の院長と一緒に働くことは可能ですので、患者さん離れの防止や、スタッフさんとの関係構築のためにも、スムーズな引き継ぎを心がけましょう。税理士法人テラスでは、M&Aのサポートはもちろん、承継開業後の医院経営についても税務・労務・法務の面でサポートします。

執筆者紹介

mr-kasanami笠浪 真(かさなみ まこと)
税理士法人テラス 税理士・MBA


京都府出身。国立滋賀大学経済学部卒業の後、同大学院にてMBA取得。在宅・特別養護老人施設にて、介護士として医療福祉の現場に携わり、会計事務所・法律事務所・コンサルティング会社を経て、税理士事務所を開業。これらの経験を、さらに医療の現場に役立てたいとの思いから、慶應義塾大学大学院医療マネジメント専攻にて、医療経営を学び直す。平成25年「医師からファーストコールされる存在」として、病院・診療所・歯科医院の会計に専門特化した税理士法人テラスを設立。経営理念に共感した医師・歯科医師より、多くの支持を得る。
税理士法人テラスのサイトはこちら
※このコラムは、2020年6月現在の情報をもとに執筆しています。

経験豊かなサポートスタッフが、先生方一人ひとりのニーズに合わせた医院開業サポートを行っております。個別相談を無料で承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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