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マスオ退職、独立を決意

【前回のあらすじ】
ノリスケによるカツオ理事長解任の画策は未遂に終わり、その代わりにマスオとノリスケの理事報酬の減額が社員総会で議決されることとなった。今後はさらにスタッフ労務管理や教育を徹底する方針となり、結果的にイソノ医院は業務の生産性が向上し、スタッフの残業時間も減少。人件費を圧縮することに成功し、ようやく黒字経営を実現できた。また、労務管理を徹底することで院内の雰囲気も良くなり、スタッフは皆、楽しそうに働いている。しかし、そんなイソノ医院を横目に、マスオだけが不満を募らせていた……。

 

 

ある日の夜、居酒屋

 

 

マスオさん、ちょっと飲みすぎじゃないか?

 

うるさい! 今日は飲ませてくれ! おーい、同じやつをもう1本!

 

いやいや、その辺にしておかないと。明日もあるんだし……。

 

ノリスケくん、悔しくないのか! 自分達は今まで以上に働かされているのに、給料を減らされるなんて!

 

確かになあ……。僕も経理だけでなく余計な仕事が増えてきてストレスが溜まっているのに、さらに給料を減らされたんじゃやってられないよ。

 

こんな理不尽なことがあるか!!

 

でも、イソノ医院は一応黒字になったし、客観的に医院の雰囲気が良くなっているのも事実だからなあ。

 

そうかなあ? 僕は全然働いていて楽しくない! これだったら、前のほうがきっちり定時で帰っていたし全然よかったよ!

 

医院全体の残業時間は減っているんだけど、その分のしわ寄せが自分達に来ているんだよなあ。

 

僕はもう嫌だ! もう我慢できない! こんな医院、辞めてやる!

 

おいおい、冗談だろ。今マスオさんに抜けられたら、代わりはどうするんだ? それに、今医院を辞めてどうする気だよ。

 

知るか、そんなこと! ノリスケくん、今日はもうちょっと付き合ってくれ! うーい……。

1ヶ月後

 

 

あなた、お帰りなさい。今日も遅かったわね。

 

あー、いやー最近大変でね。クタクタだよ。

 

あ、そういえば聞いた?

 

何を?

 

ナカジマ医院のナカジマ先生っているじゃない、カツオと同級生の。

 

あー、ナカジマくんも医者になったというのは知っているよ。確か、◯◯辺りに開業しているよね?

 

そうなんだけどね。どうやらナカジマ先生、医院を閉めるらしいのよ。

 

え!? どうして? まだ若いのに! 法人化してからそんなに経っていないだろうし……。

 

確か、法人化はうちと同じくらいの時期だったわ。ナカジマ先生も、カサナミ先生にお願いして法人化したはず。どうやらナカジマ先生、海外に移住するらしいのよ。家族を連れて。

 

あの歳でハッピーリタイアか? 羨ましいなあ。

 

海外で医者を続けるのかもしれないけどね。まあ、どちらにしてもびっくりだけど。

 

ナカジマ医院はどうするの? そのまま廃業?

 

それはわからないわ。最近はM&Aも増えているから。

 

なるほど……(しめしめ、もしM&Aであればこれはチャンスだぞ)。

1週間後

 

 

マスオ先生じゃないですか、お久しぶりです。お元気でしたか? (マスオ先生が1人で相談に来るなんて珍しいな)

 

まあ、何とかやっています。ただ、イソノ医院の仕事が大変でして。

 

そうですか、最近のイソノ医院は調子がいいですね。人件費が下がっているのに、売上は上がっている。とても良い傾向です。労働分配率が劇的に変わってますね。

 

それ、私が一生懸命働いているのに、給料を減らされているのもあるんですよ。正直、何だかもう疲れ果ててしまって。そこで、ご相談があるのですが……。

 

はい、何でしょうか?

 

実は、イソノ医院を辞めて独立しようと考えています。

 

なんと、それまたどうして!?

 

先ほども言ったように、イソノ医院の仕事に疲れてしまったことと、方向性の違いも感じているんです。それで、いっそのこと開業しようかと思います。

 

開業支援の相談ですね。

 

開業ではありますが、できればM&Aでの承継開業を考えています。カサナミ先生、ナカジマ医院のナカジマ先生はご存じですよね?

 

はい。

 

実は、ナカジマ先生が近々医院を閉めると聞きまして。医療法人ですし、うまく引き継げないかと……。

 

マスオさんは、医院の売り手を探しているのですね。では、ナカジマ先生とお話してみましょう。

 

はい! よろしくお願いします!

 

ところで、イソノ医院の理事は確か全部で5名ですよね?

 

そうです。

 

であれば、大丈夫かと思います。

 

理事の数と、何か関係あるのですか?

 

理事を辞めることで理事の数が法定数(3名)を下回ってしまうと、任期が終わるか、新しい理事が見つかるまで退職させてもらえないことがあります。ただ、イソノ医院は理事が5名でマスオ先生が辞めても4名いますし、おそらく大丈夫かとは思います。

 

わかりました。ぜひ、今度ナカジマ先生に会わせてもらえると助かります。

タラちゃんにかかる学費を考え、できれば資金が安く済むM&Aの開業にしたいと考えたマスオ。M&A開業は、患者さんやスタッフをそのまま引き継ぎ、開業後の不安定な経営を避けやすいのも利点であった。独立開業に心魅かれながらも、勤務医経験が長く安定志向のマスオにとって、M&A開業は魅力的に映った。

1週間後

 

 

廃院するにしても、意外と手続きは煩雑でコストもかかります。また、残される患者さんやスタッフを考えても、誰かに継いでほしいと思っていました。

 

そうですか。

 

ナカジマ医院を継いでいただければ、私も安心して引退できます。ぜひ、お願いします。

 

ありがとうございます!

こうしてナカジマとマスオは秘密保持契約を結び、売買の交渉に進むこととなった。

2週間後

 

 

ナカジマ医院を買収するとなると、どれくらいの資金が必要になるのでしょうか?

 

(パチパチ……)概算では◯◯円くらいですかね。

 

えっ! 思ったより高いですね!

 

それでも、ナカジマ医院の近辺の戸建て物件の開業費用に比べたら、◯千万円くらいは抑えられる計算になります。

 

でも、新しく建設する必要はありませんし、同じ内科だから医療機器も新しく買い直す必要もないので、もっと安いかと思っていました。

 

譲渡価格は、不動産や設備の価値だけの話ではありません。『営業権(のれん)』と言って、“医院が長年築いてきた信用”という評価も加算されます。

 

ナカジマ医院もイソノ医院と同じく、お父様が個人医院の時代から築いた長年の信用や実績があります。継続的に通っている患者さんも多く、売上も十分あり、妥当な金額ではないかと思います。もう少し資産整理をすれば、下げられるかもしれませんが。

 

でも、それだけ良い条件ということですよね。

 

そういうことになりますね。今のところ訴訟などの問題を抱えているわけではないので、損害賠償責任を引き継ぐリスクも低いでしょう。

 

なるほど。あとは銀行の融資が下りれば、何とかやっていけるかと思います。

 

M&Aでの開業の場合は、すでに信用されている医院の買収であれば、融資は比較的通りやすいでしょう。また、金利も低く抑えられる傾向にあります。あとはマスオ先生の事業計画書次第ですね。

 

わかりました。前向きに検討したいので、本格的にナカジマ医院と交渉に入りたいと思います。

 

了解しました。あとは譲渡価格以外の目には見えづらいリスクもありますし、ナカジマ先生とのマッチングが課題ですね。

 

例えば、どのようなリスクでしょうか?

 

内装や医療機器の買い替えで思った以上に費用がかかり、結局は新規開業とあまり変わらなくなったりすることもあります。

 

それと医療法人の場合は、損害賠償のように悪いことまで引き継いでしまう点ですね。過去の医療訴訟やスタッフとの雇用契約、税務調査の履歴も引き継ぐことになります。

 

スタッフとうまくやっていけるかも不安ですね。

 

もともと新規開業はオープニングスタッフが定着しにくい点がありますが、M&Aでも離職率が低減できるとは限りません。

 

ナカジマ先生より雇用条件を下げることはできませんし、相性が悪ければ一斉退職を招くこともあります。交渉のときは、譲渡価格の折り合いを付けるだけでなく、マッチングも大事です。

 

なるほど、わかりました。

こうしてマスオは、本格的にナカジマ医院の買収、そして開業に向けて動き出すこととなった。カサナミが間に立って譲渡価格について交渉し、マスオはナカジマ医院の保有する設備などを見て自分の診療に合っているかどうかを確認。その結果、やはりマスオのナカジマ医院買収の意志は揺るがず、譲渡価格についてもほぼ合意する段階まで話を進めることができた。マスオのM&A開業はいよいよ現実味を帯びていく。

ある日の夜

 

 

ねえ、サザエ。

 

どうしたの?

 

……。

 

何? 何かあったの?

 

サザエ、実は僕……イソノ医院を辞めることにしたんだ。

 

え!?

次回につづく

 

●税理士笠浪真のワンポイントアドバイス

最近では、新規開業だけでなくM&Aによる開業のケースも増えています。新規開業ですと、医院建築や医療機器の購入などで多額の融資やリースが必要になります。しかし、M&A開業であれば、建物も医療機器も一通りそろっているため必要資金が抑えられ、しかも患者さんもスタッフも引き継ぐことができます。このような背景から、新規開業をハイリスク・ハイリターンの投資とするならば、M&A開業はローリスク・ローリターンの投資と言えるのです。

しかし、当然戸建て物件を建築する場合のように「好きな立地でレイアウトも自分の思いのまま」とはいきません。買収する医院が古い場合は内装を新調したり、医療機器を買い替えたりと、結局新規開業と変わらないようなケースも起こり得ます。自分がやりたい医療とのマッチングを、十分確認するようにしましょう。

また、譲渡価格は不動産や医療機器などの資産価値だけでなく、「長年にわたる患者さんの信用」という、目に見えない営業権(のれん)が加算されます。営業権については明確な指標がなく、評価が難しいため、売主と買主だけで交渉するのはほぼ不可能です。そのため、客観的な調査(デューデリジェンス)が必要になるので、M&Aに詳しい専門家を介することが必須です。医院・クリニックのM&Aについては、多数の実績がある税理士法人テラスにぜひご相談ください。

執筆者紹介

mr-kasanami笠浪 真(かさなみ まこと)
税理士法人テラス 税理士・MBA


京都府出身。国立滋賀大学経済学部卒業の後、同大学院にてMBA取得。在宅・特別養護老人施設にて、介護士として医療福祉の現場に携わり、会計事務所・法律事務所・コンサルティング会社を経て、税理士事務所を開業。これらの経験を、さらに医療の現場に役立てたいとの思いから、慶應義塾大学大学院医療マネジメント専攻にて、医療経営を学び直す。平成25年「医師からファーストコールされる存在」として、病院・診療所・歯科医院の会計に専門特化した税理士法人テラスを設立。経営理念に共感した医師・歯科医師より、多くの支持を得る。
税理士法人テラスのサイトはこちら
※このコラムは、2020年5月現在の情報をもとに執筆しています。

経験豊かなサポートスタッフが、先生方一人ひとりのニーズに合わせた医院開業サポートを行っております。個別相談を無料で承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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