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ノリスケの野望 ~カツオ、解任へ~

【前回のあらすじ】
マスオが常勤医師となり、新たにノリスケが事務長に就任したイソノ医院。しかし、人件費の増加などで、イソノ医院は経営赤字となってしまった。自分に原因があると感じたマスオは、事態を打開するためノリスケに相談するのだが……。

 

isonofamily

 

ノリスケくん、カツオくんから聞いたよ。イソノ医院は経営赤字になってしまったんだね。

マスオさん、そうなんだよ。給料が全体的に高くてね。特に医師のカツオくんとマスオさんの給料は、みんなと比べて非常に高いからね。

医師の給料が看護師や受付といったスタッフよりも高いのは、一般的じゃないのかな。

何を言ってるんだ。家族経営でやっているんだから、身内なのに医師だとか事務だとかで差をつけるのはどうなのかな?

(僕は苦労して医師になったのに……。)

思い切って、身内はみんな同じぐらいの給料設定にしたらどうかな?

それは困る!タラちゃんの学費も結構かかっているから、今より給料を下げられるのは困るよ。

そうだな。今度、飲みに行って話そうか。

おっ、いいね。駅前で一杯やりますか。

数日後

 

カツオ、イソノ医院が経営赤字になったんだってね。あなたの給料を少し下げたらどうかしら?

母さん、それだけは勘弁してよ。

何を言ってるの、カツオ。あなたが給料を下げないで、ほかに誰が下げるのよ。

まずはノリスケおじさん、それからマスオ兄さんかな。でも、僕からは言いにくいや。

カツオが院長なんだから、まずみんなに示しをつけなさい。

はいはい、わかりました。でも1年たったら戻してね。

1週間後

 

いやー、今日は食べたし飲んだね。ノリスケくん、お会計大丈夫かな?

楽しかったですね。今日も結構高くつきましたけど、イソノ医院の経費で切っておきますね。

ありがとう、それは助かるよ。

では、2次会はガールズバーに行きましょう。こっちも経費で。そのあとはキャバクラで、はしごしましょう。

イソノ医院のクレジットカードは便利だね。僕もカードが欲しいや。

いいですよ。予備があるので、どうぞ。これがあると何でも欲しいものが手に入りますよ。

素晴らしい。クレジットカードって、まるで打ち出の小槌みたいだね。

1か月後

 

イソノ医院は先月もまた経営赤字だって。クレジットカードの支払いが増えたようだね。

まあ、またカツオは無駄遣いばかりして。

違うよ、姉さん。最近ノリスケおじさんの飲み代が増えているんだけど、誰と会食しているんだろうね。マスオ兄さんも、クレジットカードを使ってイソノ医院の経費でいろんな買い物をしているんだ。行きつけのガールズバーに、はまっているって言っていたし。あ、しまった。内緒の話だった。

まあ何ですって!!! マスオさんが!!!

姉さん、僕もクレジットカードが欲しいな。

何を言っているの。カツオは大学生のときに自分のカードを使いこんで、支払いができなくなってブラックリストに載った経験があったでしょ。『バカモン!』って、父さん激怒していたわね。そんなあんたにカードなんて渡せる訳がないでしょう。

ちぇっ、やっぱり僕にはお金の管理は難しいや。

これは一大事です。ノリスケさんもマスオさんも、お父さんが元気だったら激怒していますよ。今度、私から2人を叱っておきます。

ところで、ノリスケさんとマスオさんの飲み代は経費になるのかしら?

この支出が経費になるかは、税理士のカサナミ先生に確認しておきますね。

翌日

 

交際費は事業に関係する取引先・得意先、つまり医療関係の業者さんや患者さんへの接待や、贈り物などに支払う費用のことです。特に飲食代については、取引先・得意先を従業員などが接待した場合、経費になります。

そうすると、今回のノリスケさんとマスオさんが2人で飲んでいたのは交際費にならないということですか?

はい。従業員のみでの飲食代は交際費には該当しません。

それでは、2人への福利厚生費にはなるのでしょうか?

福利厚生費は、従業員全員に平等に機会があることが原則です。特定の従業員に対するものは、福利厚生費とはいえませんね。

そうすると、今回の2人だけの飲食代は経費になりませんね。

はい。経費にすると税務調査で指摘されますし、このような支出が続くと、医療法人の資金繰りが悪化してしまうでしょう。対策が必要ですね。

あらま。それでは、どうすればいいですか?

今回は医療法人名義のクレジットカードを使用されていますので、医療法人の銀行口座から支出してしまっています。それらを2人へのお給与とするのか、または2人への立替金として返金していただくかをお選びいただくのがよいかと思います。

今イソノ医院は経営赤字ですので、給与にすると経費が増えて、また経営赤字が大きくなってしまいますわ。

それでは次回のお給与で、その立替金を天引きにされてはいかがですか?

それがいいですね。そうしましょう。先生、ありがとうございました。

お2人の不満が出ないように、事前にカツオ先生からきちんとご説明をしてから実行されるのがよいかと思います。

わかりました。アドバイスありがとうございます(カツオから説明なんてできるのかしら……)。

1週間後

 

いやー、まいったよ。お義母さんにはこっぴどく怒られたし、サザエも怒ってたなー。ガールズバーに行ったのもばれたし……サザエにはぶん殴られたよ。とほほ。

それはお気の毒に。おばさん、僕にも『使った金額を返せ』って。しばらく給料の手取りが少なくなってしまうよ。イクラも来年受験を控えているから、タイコに怒られてしまうなあ。

僕は、イソノ医院をクビになっちゃうのかな。家からも追い出されたらどうしよう。

ううん……それもこれも、カツオくんが頼りないからいけないんだ。もう院長はおじさんからカツオくんに代わったのに、いつまでもおばさんの言いなりになっていてはダメだよ。イソノ医院が赤字になったのも、カツオくんの経営努力が足りないからなんだ。

まあまあ。そうはいっても、カツオくんはイソノ医院の跡取りだからね。

いや、マスオさんだって磯野家のお婿さんだろ。しかもお医者さんなんだから、院長になることができるじゃないか。タラちゃんが医学部を卒業したら、いつかはイソノ医院を継ぐんだろう?

うん、そうだと思うよ。タラちゃんは、『ぼくが継ぐんですー』って昔からお義父さんに宣言していたからね。

それだったら、年長だしマスオさんが院長になっていたほうがいいんじゃないかな?

ええっ!僕が院長に!?やめてくれよ。

今のままだとイソノ医院は持たないなあ。そうなったら、タラちゃんに承継できなくなっちゃうんじゃないかな。

ううむ。でも、カツオくんが辞めるって言わないと院長の交代はできないだろ?

いや違うよ。医療法人は、社員総会で社員の過半数で物事を決めるんだ。今の社員は僕とマスオさんでしょ。それからサザエさんの3票があれば、カツオくんとフネおばさんの2票を上回るから、過半数でカツオくんに辞めてもらえるよ。

そうなの?本当にやるの?でもサザエが僕の味方になってくれるかな。

将来のタラちゃんのためだって言えば、わかってくれるんじゃないかな。

そうか、そうだね。帰ったらサザエに相談してみるよ。僕もクビになんてなりたくはないからね。

その夜

 

何ですって。カツオに院長を辞めてもらうですって?

仕方ないんだよ。カツオくんがイソノ医院を潰してしまったら、タラちゃんが跡を継げなくなってしまうんだよ。ねえサザエ、わかってくれよ。

カツオは昔から行儀が悪いし、学校の成績も悪かったし、お金にもだらしない……。昔から父さんは、将来はタラちゃんにイソノ医院を継がせたいってよく言っていたわ。

だったら、今のうちにタラちゃんに継がせる準備をしておこうよ。

そ、そ、そうね……。でも、マスオさんが院長としてやっていけるの?

僕にはイソノ医院の経営なんてとてもできないよ。ノリスケくんが経営は任せてくれって言っていたから、彼に任せて大丈夫だと思うんだ。僕は経営なんてまっぴらごめんだ。診療だけやっているほうがいいよ。

本当にノリスケさんを信用しても大丈夫なの?

大丈夫だよ。サザエとは従妹だろう。きっとうまくいくよ。

う、うん。わかったわ。少し考えさせてちょうだい。

 

こうして経営赤字になったイソノ医院は、経費や給与についてのいざこざから、クリニック内に不穏な空気が流れるようになった。ノリスケは、カツオを解任してマスオを理事長にすることを画策。賛同したマスオはサザエを巻き込み、医療法人の社員の過半数票を得たかに思えた。果たして、ノリスケの企みはうまくいくのか。どうなる、イソノ医院?

次回につづく

 

●税理士笠浪真のワンポイントアドバイス

医療法人は行政からの認可を受けているため、経営赤字が続くと、行政手続き上、医療法人としての存続が危うくなります。また銀行借入がある医療法人は、経営赤字が続くと銀行からの評価が下がり、追加の借入が難しくなってしまいます。そのため、役員などの給与を下げたり、諸経費を減らしたりすることによって、黒字化を目指すのが一般的です。

しかし、理不尽な給与の減額はモチベーションを下げ、誹謗中傷による職場環境の悪化や、最悪の場合には退職につながってしまいます。そうすると、また採用コストがかかって赤字が大きくなります。さらに退職者の仕事の穴を埋めるために、ほかのスタッフが疲弊して退職してしまうという悪循環に陥ってしまうのです。実際に、スタッフが全員退職したといった事例も少なくありません。

そうならないためにも、税理士が作成する「月次決算報告書」などがとても重要です。クリニックが経営赤字にならないように、毎月の利益をきちんと管理をしておく必要があるでしょう。一度経営赤字のスパイラルに入ってしまうと、なかなか抜け出せなくなってしまいます。給与や諸経費を増やして節税を行うことも大事ですが、過剰な支出で経営赤字になってしまっては本末転倒です。資金繰りも苦しくなってしまいます。弊社では、医療法人のクライアント様に対して、日頃から黒字かつ健全な経営を心掛けていただき、院長先生には余裕を持って診療に集中いただくことをお勧めしております。

 

経験豊かなサポートスタッフが、先生方一人ひとりのニーズに合わせた医院開業サポートを行っております。個別相談を無料で承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

mr-kasanami笠浪 真(かさなみ まこと)
税理士法人テラス 税理士・MBA
京都府出身。国立滋賀大学経済学部卒業の後、同大学院にてMBA取得。在宅・特別養護老人施設にて、介護士として医療福祉の現場に携わり、会計事務所・法律事務所・コンサルティング会社を経て、税理士事務所を開業。これらの経験を、さらに医療の現場に役立てたいとの思いから、慶應義塾大学大学院医療マネジメント専攻にて、医療経営を学び直す。平成25年「医師からファーストコールされる存在」として、病院・診療所・歯科医院の会計に専門特化した税理士法人テラスを設立。経営理念に共感した医師・歯科医師より、多くの支持を得る。
税理士法人テラスのサイトはこちら
※このコラムは、2018年11月現在の情報をもとに執筆しています。

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