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医院開業コラム

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BYPLAYERS〜医療を支える名脇役たち〜

BYPLAYERS〜医療を支える名脇役たち〜

アンカーの役割。そして責任。

  • 集患・マーケティング

2017.09.06

患者さん視点で医薬連携を考えると、調剤薬局は処方箋というバトンを受け継ぐ、いわば”リレーのアンカー”です。それゆえに、医療機関での診察を含め、患者さんの調剤薬局での体験が、医療サービス全体の印象に影響を与えてしまいます。

調剤薬局の店長として、多摩センター店が患者さんにとって居心地がよく、できるだけお待たせしないことを役割と考え、店舗マネジメントを進めております。

 

プラスαのサービスを生む土壌づくり

患者さんは、そこで働いているスタッフの人間関係や雰囲気を敏感に感じ取ります。そのため、店舗スタッフが気持ちよく、連携して働ける環境づくりをとても大切にしています。アイセイ薬局には店長として中途入社をしましたが、スタッフ間の円滑なコミュニケーションができるよう、雰囲気づくりには相応の期間とエネルギーを注いできました。

現在、総勢20名のスタッフが在籍していますが、業務面では3名のチームリーダーが密に連絡・相談の対応を行い、コンパクトで効率的な運営がなされています。自然発生的に業務時間外の行事が生まれるなど、全体のよい雰囲気ができあがってきたと思います。

また、個々の薬剤師の育成面で大切にしているのが「バランス」です。薬剤師としての知識やスキルを向上させることはもちろん大切ですが、同時にサービス業の一員として患者さんの気持ちを考えた接し方や伝え方を身につけることが求められます。薬剤師は知識に固執しすぎるなど、患者さんへの気配りがおろそかになりがちです。両方を高いレベルでバランスよく保つことが、患者さんの居心地がよい店舗づくりには必要となります。

スタッフ間の連携やバランス感覚を持った薬剤師が増えると、たとえば、待合スペースで少しイライラされている患者さんへお声がけをしたり、動くのが辛そうな患者さんにこちらから歩み寄ったりといった、当たり前のことから一歩進んだ”プラスα”のサービスが生まれてくるものだと思います。

 

「待ち時間」低減大作戦

多摩センター店は、主に4科のクリニック様からの処方箋を1日に300枚ほど受けています。こういったことから、待合スペースには常に多くの患者さんが待機している状態です。以前は「遅い」といったクレームをいただくこともしばしばあり、平成24年7月にアイセイ薬局全店で実施した「患者満足度調査」では、多摩センター店の課題として「待ち時間」が抽出される結果となりました。

 

そこで、”体感的な待ち時間”を少しでもやわらげ、待合スペースが患者さんにとって心地よく、くつろいでいただける空間となるように2つの策を導入しました。
1つめは「3mの大型アクアリウム」です。
テーブルとイスは、アクアリウムを囲むように配置しました。患者さんは水槽の熱帯魚や水草を眺めていると時間の経過を忘れるようです。

 

2つめの「健康図書館」には約30㎡のスペースを確保。疾患や健康に関するテーマはもちろんのこと、幅広い年齢層の嗜好に合わせた書籍や雑誌、児童書などを数多く取り揃えました。

これらを導入した結果、患者さんからの「遅い」というクレームはかなり減りました。待ち時間を感じさせない工夫として、とても効果が出ていると思います。

さらに、”物理的な待ち時間”をいかに減らすかについても着手しました。錠剤の自動調剤マシンやピッキングサポート機器の導入により、調剤のスピードアップが実現。自動化の推進によりピッキングミスが大幅に減少し、安心や安全の向上にもつながっています。こういった待ち時間の短縮で得られた貴重な時間を、できる限り服薬指導や患者さんのお話に耳を傾ける時間に充てられればいいなと思います。

考察:薬剤師として医師から求められていること

薬剤師というのは、患者さんからの質問を安易にそのまま医師に問い合わせてしまうことがあります。医師の確認を取れば、免罪符を得られたというリスク回避の考えが根底にあるのかもしれません。以前、先生から「それを調べるのが薬剤師の仕事でしょう」といったお叱りをいただいたことがあり、「薬剤師として責任を持ってちゃんとやってるの?」と言われた気がして、とても心に刺さりました。

もちろん、先生方によってどこまで確認するかという違いはありますが、薬剤師は原則として自身の領域に関してはきちんと考えて判断を行い、そしてその責任を取る覚悟が必要です。

 

それから、今はお薬を渡すだけではなく、患者さんがお薬を飲んだあとの責任も薬剤師に求められていることです。お薬を渡して「あとは先生に聞いてください」というのは通用しないと思います。薬剤師として、薬以外にもいろいろな知識を身につけなければなりません。病名や症状、病態など病気の知識はもちろんのこと、在宅や介護、簡保など、広く浅くてもよいのでいろいろなことを知っているということが薬剤師の強みとなり、チーム医療において連携先への貢献につながると思います。

 

医薬連携の、その先へ

「医療法人社団めぐみ会様」は、多摩地区を中心に12の医療施設と110名の医師を抱える大型医療法人です。多摩センター店では消化器科、循環器科、血液内科、糖尿病内科、泌尿器科、脳神経外科、など多岐にわたる専門外来を開設している田村クリニック様と小児科、皮膚科の専門クリニックである多摩ガーデンクリニック様との連携体制をとっております。

めぐみ会様の方針のひとつに、土日祝日も診療をする年中無休、いわゆる「365日診療」があり、多摩センター店もこれに連動して元旦から大晦日まで常に開局をしております。

めぐみ会様とアイセイ薬局の間では、個別のクリニックと調剤薬局という点の関係だけではなく、双方の本部同士を含めたリレーションが構築されていると思います。前職の薬局では店長の上がすぐ社長という規模の会社でしたので、店舗レベルでの対応しかできないといった限界を感じていました。現在のアイセイ薬局のように、店舗統括部門や学術、開発などさまざまな部門があることで、医療機関側が抱える課題に対して私たち調剤薬局側から解決のヒントになるような情報提供や提案ができると思います。これも広義の医薬連携のカタチではないでしょうか。

 

■ Doctor’s Comment

当院では、医療をサービス業のひとつだと考えています。365日医療が求められている状況に対し、自分の能力の及ぶ限り応えたいという思いから、土日祝日の診療を実施しています。特にプライマリケアでは治療薬が必要ない診療はほぼ存在しないので、院外の調剤薬局が土日祝日診療に協力してくれるのはありがたいと感じています。

医師も完璧ではありません。患者さんの数が増えてオーバーワークになると、電子カルテへの入力の際などにエラーが生じる可能性があります。調剤薬局や薬剤 師は積極的に疑義照会を行い、患者さんにご迷惑をおかけしないためのダブルチェックとして機能してほしいと思います。
忙しい日常診療の中では、診察室での説明だけでは言葉が足りなかった部分や、診察時間が十分に取れずに説明不十分だった部分を補足してもらえるので助かっています。調剤薬局は、クリニックにとって恋女房のようなものです。

当院では、できるだけ患者さんをお待たせしない努力はしておりますが、混雑時はどうしても待ち時間が生じてしまうことがあります。そのため、アイセイ薬局多摩センター店のように待たせない工夫をしてもらえるのはありがたいと感じます。100点満点でいえば、99点です。あとの1点は、今後も共に成長していきたいという伸びしろの部分でしょう。意見交換会など互いの職員が自由にコミュニケーションをとれる場を設け、共にチーム医療を実践していきたいと思います。

 


PROFILE

駒形 直紀 氏
アイセイ薬局 多摩センター店 店長/薬剤師 2004年 東京薬科大学薬学部卒業
趣味:ランニング
終業後は毎日ジムに通い、5kmのランニングをこなす。

 

 


 

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