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ナミヘイの死。あるはずの遺言書がない

前回のあらすじ

兄ウミヘイより医療法人を承継したナミヘイ。これを機に、カツオは後継者としてイソノ医院を承継することを決めた。しかし、ナミヘイの体調は日に日に悪くなっていく一方であった。

 20170113_kekei-zu-01

 

イソノ医院は医療法人化し、『医療法人ISONO イソノ医院』となった。
しかし、ナミヘイの体調はこのところ思わしくなかった。今月より木・土・日曜日に加えて水曜日も休診日となった。

 

 

かあさん、わしにもしものことがあったときに、家族にどのように財産を分けておくかを決めておきたいと思っている。

 

うう(涙)。悲しいですが、家族にとってはとても大切なことですね。税金のことも心配なので、先日の医療法人セミナーの講師をしていた税理士のカサナミさんに相談してみては。

 

そうだな。相続税のことも心配だし、もう一度相談に行ってみるか。

 

1週間後の土曜日

 

 

そうですね。大変恐縮ですが、ナミヘイさんに万が一のときには相続税がかかる可能性があります。相続税は、相続(死亡)時の財産の合計額が、基礎控除を超えた場合にその超えた額に対して課税されます。

 

わしが持っている不動産は自宅兼クリニックと駐車場、父さんから相続したアパート。価値にして●億円にはなるな。それから預貯金が●千万円と、株式が●千万円、生命保険にも●億円入っておるぞ。

 

相続人は、奥様のフネさんとお子様3人の合計4名ですね。この場合、現在の税制では、5,400万円が基礎控除額となります。

 

なるほど、それだと財産がおおよそ●億円ぐらいだから、基礎控除をはるかに超えているなあ。

 

細かい計算はありますが、超えた金額に●%をかけて、おおよそ●千万円ぐらいは相続税がかかりますね。

 

ギョギョ、●千万円も相続税を払うのか!

 

はい。ただし、払うのは相続人の方々です。

 

困ったな。カツオにはクリニックを譲ると言ったけど、相続税を支払うお金までは想定していなかったなあ。先生、わしの財産をどのように分けたらいいのかな?

 

相続人に財産をどのように分けるかをあらかじめ決めておくのが遺言書です。財産の分け方によっても相続税は変わってきます。いくつかシミュレーションを作ってみましょう。

 

カタカタカタ

 

 

フムフム。自宅は、かあさんに。医療法人の出資持分とクリニックの資産はカツオに。株やアパートはサザエとワカメに残しておくか。預金はみんなの相続税の納付用に分けておくのがいいな。それから保険は……

 

遺言書は、できれば公正証書で作成されるのがいいと思います。自筆遺言書をご自身でお持ちになると、紛失や破損のおそれがあります。

 

なるほど。ただじっくりと考えたいので、自筆の遺言書にして、自宅のタンスにしまっておくよ。

 

承知しました。何度でも書き直しができますのでご安心ください。

 

先生ありがとう。聞いておいたおかげで気持ちがすっきりしたよ。

 

こちらこそありがとうございます。またいつでもご相談ください。

 

翌週の日曜日

 

 

よし、これでわしの遺言書は完成した。われながら良くできたわい。まだみんなには知られたくないな。不公平だと喧嘩されたら困るし、わしの財産が全部分かってしまうのは嫌だな。そうだ、このタンスの奥のほうのさらにこの隙間に入れておこう。また気が変わったら書き直そう。カツオのがんばり次第だな……。

 

おとうさん、部屋で何かお探しですか?

 

いやいや。かあさん、何でもないよ。

 

おとうさん、先日の相談はいかがでしたか?相続税はかかるのですか?

 

みんな聞きなさい。どうやらわしが死んだら相続税がたくさんかかるようだ。もしものときには、まず初めに税理士のカサナミ先生に相談するのだよ。

 

とうさん、何を言っているの。そんなこと気にしないで、早く元気になってね。

 

とうさん、わかったよ。クリニックのことはほとんど引き継げたので、心配しなくていいよ。

 

ワーン、とうさん(涙)

 

3ヶ月後

 

 

いよいよお迎えがきたわい。

その日、ナミヘイは帰らぬ人となった。最愛の家族に囲まれ、厳かにお通夜、告別式が営まれた。ナミヘイは家族から愛され、イソノ医院のスタッフから尊敬され、患者からも信頼され、素晴らしい生涯をここに閉じた。

 

1週間後の初七日

 

 

そういえば、おとうさんは、相続税がかかると言っていたけど、どうすればいいのかしら。

 

何かあったら、税理士のカサナミ先生に相談するようにと言っていたね。

 

今度の週末にみんなで相談に行ってみよう。

 

銀座に事務所があるのね。おかあさん、帰りに買い物に行こうね。

 

はいはい。大事なお話で行くのですからね。

 

週末

 

 

この度は、ご愁傷さまです。ナミヘイ先生には大変お世話になりました。もうお会いすることができないかと思うととても残念です。

 

主人が大変お世話になりました。万が一のときはこちらに相談するようにと言われまして。

 

はい。伺っております。ナミヘイ先生は、自分がもしもの時には、相続税の申告のことや遺産の分割についてよろしく頼むとお話しされておられました。

 

相続税はかかるのでしょうか?

 

以前の試算では、●千万円ほどかかるようです。

 

ヒエーそんなにかかるのですね。

 

そんなに払えるお金はあるの?

 

大変だわ。買い物どころじゃないわ。

 

主人の財産はどうやって相続するのですか?

 

ナミヘイ先生は、このときに備えて、以前に遺言書をお作りになっておられます。その通りに財産を相続していただくのが一番簡単です。

 

それが、うちをいくら探しても見つからないのよ。

 

公正証書の遺言書だと、公証人役場に控えが保存されているのですが。今回は、ご本人の希望で自筆の遺言書ですので、おそらくご自宅の大事な場所に保管されているかと思います。

 

そう思って、主人の書斎とかタンスの中を探したのだけど、見つからないの。

 

おとうさん、どこに保管したのだろうね。貸金庫とかあるのかしら。

 

自筆遺言書を紛失された場合には、財産を分けていただくためには、遺産分割協議をしていただく必要があります。つまり、相続人たちが話し合い、だれがどの財産を相続するのかを話し合って決めることになります。協議書には相続人全員の実印が必要です。

 

それなら仕方ないね。みんなで話し合って決めよう。

 

こうして、ナミヘイが作成した遺言書は見つからなかったため、フネ、サザエ、カツオ、ワカメは何度も話し合って遺産分割協議を行った。カサナミ税理士の提案もあり、最終的には『配偶者の税額軽減』の特例制度を活用し、配偶者であるフネがより多くの財産を相続することで、最も相続税が安くなる分割方法を選択した。そしてナミヘイの死亡日より10ヶ月以内に相続税申告を済ませて、●千万円の相続税が納付された。この相続を機にナミヘイからカツオへとイソノ医院は事業承継されていくこととなった。

次回につづく

 

●税理士笠浪真のワンポイントアドバイス

国内で相続税の対象になる人は約5%だといわれています。つまり100人のうち95人にはかからない税金です。しかし、クリニックの院長の場合は、比較的財産の蓄積が多く、相続税がかかるケースが多くなっています。預金、不動産、株式に加えて、医療法人の出資持分や医療法人への貸付金(医療法人の会計では「理事長借入金」)も相続税の対象になります。事前の対策としては、『遺言書』の作成や、お元気なうちから少しずつでも相続人に財産を移転する『生前贈与』が有効ですが、院長は日々の診療が忙しすぎて、相続対策をじっくりと考える時間はないかと思います。

いざご病気になってしまったときに本気で相続を考え、その対策を実施するのではとても間に合いません。相続対策は早い段階から税理士・弁護士等の専門家に相談しておくと安心です。もしものときに実際にどのくらい相続税がかかるのかシミュレーションをしておくことをおすすめします。

相続税対策と事業承継対策は切っても切り離すことができません。ぜひ、医院の相続対策・相続税申告・事業承継対策に多くの実績を持つ税理士法人にて、相続税のシミュレーションや相談をしてみてください。院長ご自身のこと、または、ご両親に相続が発生した時のことなど、実際にかかる相続税額を知っておくことは、相続対策のプランを練る際に非常に役に立ちます。もちろん、私ども税理士法人テラスでも相続や事業承継に多くの実績がございます。ぜひお気軽にご相談ください。

 

経験豊かなサポートスタッフが、先生方一人ひとりのニーズに合わせた医院開業サポートを行っております。個別相談を無料で承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

mr-kasanami笠浪 真(かさなみ まこと)
税理士法人テラス 税理士・MBA
京都府出身。国立滋賀大学経済学部卒業の後、同大学院にてMBA取得。在宅・特別養護老人施設にて、介護士として医療福祉の現場に携わり、会計事務所・法律事務所・コンサルティング会社を経て、税理士事務所を開業。これらの経験を、さらに医療の現場に役立てたいとの思いから、慶應義塾大学大学院医療マネジメント専攻にて、医療経営を学び直す。平成25年「医師からファーストコールされる存在」として、病院・診療所・歯科医院の会計に専門特化した税理士法人テラスを設立。経営理念に共感した医師・歯科医師より、多くの支持を得る。
税理士法人テラスのサイトはこちら

※このコラムは、2017年3月現在の情報をもとに執筆しています。

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